therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

うつ病と認知症との鑑別

認知症とうつ病の仮性認知症との鑑別 高齢者のうつ病は、思考抑制などが強くなると仮性認知症といって、認知症と同様な症状を呈することがあります(10~30%)。仮性認知症の場合には、抗うつ薬治療などでうつ症状が改善すれば認知症様の症状も改善しますの…

脳卒中後うつ病に対する総合的医療が必要

脳血管障害とうつ病の相互関係性 脳血管障害とうつ病の両者に共通した規定因子として「心理社会的ストレス」があります。脳血管障害でうつ病にもなりますが、うつ病になると、血小板凝集能の亢進、ω3系脂肪酸の減少、BDNFの減少、コルチゾールやサイトカイン…

脳卒中後うつ病の治療の重要性

抗うつ薬治療による認知機能の改善 脳卒中後うつ病の抗うつ薬治療試験で、うつ症状は改善するものの認知機能の改善が認められないため、脳卒中後うつ病は、認知症に伴う仮性うつ病と捉えるべきではないかという議論がありました。Robinsonらは、PSDの抗うつ…

脳卒中後うつ病の有病率と予後への影響

脳卒中後うつ病の有病率 PSD有病率(メタ解析) 急性期、慢性期を問わず、脳卒中患者の約3割がPSDに罹患します。 PSDは認知機能を悪化させる 脳卒中後の病変部位を一致させたPSDと非PSDを比較すると、PSDの方が有意に認知機能が障害されていました。 PSDは…

脳卒中後うつ病と病変部位

Robinsonの左前頭葉傷害仮説 Robinsonらは、病変部位が左前頭葉にあるとうつ病になる頻度が高く(左図)、左半球においては病変が前頭極に近いほど(前方にあるほど)重症度が高い(右図)という左前頭葉傷害仮説を提唱。 皮質および皮質下の病変によるPSDの…

脳卒中後うつ病とは?

脳卒中後うつ病(post-stroke depression: PSD) 脳卒中後にみられる器質性ないし二次性のうつ病 脳梗塞後でも脳出血後でも、うつ状態の症状や頻度には大きな差異がないため、脳梗塞後も脳出血後もあわせて脳卒中後うつ病として検討していることが多い。 脳…

血管性うつ病の臨床的特徴と発症メカニズム

血管性うつ病の臨床症状 機能性うつ病というのは、脳血管障害のない通常の高齢者うつ病です。つまり、高齢うつ病者は不安焦燥感が目立つタイプは、一般的な高齢者のうつ病を考える必要がありますが、精神運動抑制やアパシーという動きの少ないタイプの場合に…