therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

催眠誘導の原則

催眠誘導の原則 催眠をかける方法には弛緩という側面があり、閉眼、リラックス、緊張感のほぐれといった現象を伴うが、「催眠=弛緩」ではなく、覚醒状態催眠やリラックスさせることが困難であったり、極度に不安が強い場合にも催眠誘導は可能である。 また…

催眠感受性尺度の意義

催眠感受性尺度の意義 催眠感受性は他の人格特徴と同じように、個人差のあることが実験的に確認されており、感受性の測定手段を確立させることは一般の心理テストと同様に価値がある。 感受性の役割を不可欠とする立場からは、標準化された尺度の活用によっ…

催眠感受性

催眠感受性 臨床催眠にとって重要な催眠感受性(hypnotizability)は、催眠被暗示性、催眠感応性とも呼ばれ、催眠暗示に対する反応能力(suggestibility)と定義される。 ヒルガードの研究によると、低感受性(10~15%)、中感受性(75~85%)、高感受性(…

サービンの役割理論

サービンの役割理論 サービン(Theodore Roy Sarbin, 1911–2005) サービンは社会心理学の立場から変性意識説の非妥当性を最初に表明した。彼はミードが提唱した役割理論(the role theory)によって催眠を分析し、弟子のウィリアム・コウとともに、催眠現象…

アーヴィン・カーシュの反応期待説

アーヴィン・カーシュの反応期待説 アーヴィン・カーシュ(Irving Kirsch, 1943 -) カーシュによると、我々の行動は、これから一体どのような反応が起こるのかという期待感によって決定される。この最も極端な例がプラセボ効果であり、薬物成分が全くないの…

スパノスの方策的役割履行と課題志向空想

スパノスの方策的役割履行と課題志向空想 Nicholas Peter Spanos (1942-1994) バーバーの課題動機説は、弟子のスパノスによって、さらに進展する。 スパノスは、催眠反応とは与えられた指示に対する単なる同調や服従、または指示された課題に対する単純な動…

催眠の社会認知理論:バーバーの課題動機説

社会認知理論 変性意識を催眠の特徴とみなす状態論に対して非状態論は、催眠を特別な変性意識ではなく、被験者のおかれた状況要因と心理状態によって生じた行動ととらえる。 催眠の理論のなかで、非状態論の主流とされる社会認知理論は単一理論ではなく、複…