うつ病の治療といえば薬
カウンセリング
あとは…
今、それに加えて、磁気刺激療法(rTMS)という新しい治療も行われるようになってきています。
抗うつ薬に頼らない画期的な治療法としてNHKなど、メディアでもrTMSが紹介されていますが、どのようなものなのか、ご紹介します。
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うつ病では、左脳のDLPFCの働きが悪くなっていることが分かってきています。
DLPFCが働かなくなると、扁桃体を抑えられなくなる
前にブログでご紹介しました。
扁桃体が働きすぎると、不安、恐怖、悲しみを、ずーーーっと感じ続けてしまいます。
理由がなくても不安
何だか分からないけど怖い
悲しみからずっとずっと立ち直れずにいる…
これは扁桃体が働きすぎているのですね。
だから、もう少しDLPFCに、扁桃体を抑えてもらわなくてはいけません。
でも、DLPFCがお休み中・・・困りましたね・・・
そのお休み中のDLPFCを刺激する治療が、反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)というものです。
DLPFCさん、起きて起きて~という感じです。
以前は8の字コイルを手で持って刺激していましたので、腕が疲れてしまって、刺激位置がブレてしまうなど問題もありました。
そこで、下の図のような機械が開発されました。
こちらの機械(Neuro Star)なら、ブレることなく刺激できます。
うつ病の場合・・・
お休み中のDLPFCを起こすには、どうすれば良いのでしょうか。
刺激の方法には2つあります。
まず一つ目は、左側のDLPFCを高頻度で刺激(10~20Hz)します。
そうするとDLPFCのはたらきが良くなります。
この刺激を行う方法が最も一般的です。
もう一つは、はたらき過ぎている右脳の扁桃体や腹内側前頭前野(ふくないそくぜんとうぜんや)を抑えるために、右前頭葉を低頻度で刺激(1Hz)する方法があります。
刺激を与えるというのではなく、はたらき過ぎの右脳をリラックスさせる感じです。
これまでは、どちらかの方法が行われてきましたが、最近では左脳に高頻度刺激をした後に、右脳に低頻度刺激する、bilateral rTMS(両側rTMS)という方法が、より効果が高いということが分かってきています。
こんな風に脳を刺激すると、左右のはたらきのバランスが良くなり、うつ症状が良くなります。
では、どのくらい刺激すれば良いのでしょうか。
1回40分ほどの治療を週5回。
期間は2~6週間程度続ける
これが一般的なようです。(個人差あり)
日本ではまだ保険適応になっていませんが、近々、保険適応になるかもしれません。
光トポグラフィーやrTMSの登場で、うつ病治療も変わってきています。
次回は海外での報告も含めてお話を進めたいと思います。