therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

うつ病のこころとからだの症状

うつ病のこころの症状

  1. 感情の障害

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    気持ちが落ち込んで憂うつになります。
    悲しくなったり、寂しくなったりします。
    不安感が強くなって、落ち着かなくなったり、イライラすることもあります。
    朝方のほうが不調で夕方になると少し楽になることもあります(日内変動)。
    自我感情が低下して、自分は何の役にも立っていないように思われ(自己の過小評価)、自分自身を責めたり(自責感)、劣等感が強くなります。
    すべてのことを悪い方向に考えるようになり(悲観的思考)、生きていても仕方ないような気持ち(希死念慮)が出てきます。

  2. 意欲の障害

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    これまで楽しめたことも何もやりたくなくなり、興味や関心も低下します。
    すぐに疲れて(易疲労感)、人と会うのも億劫になり、閉じこもりがちになったり、横になることが多くなります。

  3. 思考の障害

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    考えがスムーズに進まなくなります(思考抑制)。
    集中力がなくなり、忘れっぽくなるので、高齢者では認知症になったのではないかと思われることがあります(仮性認知症)。
    ときには、妄想にまで発展することもあります。妄想というのは、簡単に言うと「明らかにあり得ないようなことを、本人は信じて疑わず、誤りを指摘しても全く訂正不能になってしまう思い込み」です。
    うつ病の三大妄想・・・若い人よりも高齢の方に出現しやすい症状です。
    心気妄想(自分がなにか重大な病気にかかってしまっていると思い込む)
    罪業妄想(悪い出来事は自分が罪深いことをしたからで、罰を受けなければならないと思い込む)
    貧困妄想(自分にはお金がなくて、きっと破産してしまうと思い込む)

うつ病のからだの症状

  うつ病では以下のようなさまざまな身体症状も出現します。

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  • このようなからだの症状が出現するため、うつ病の患者さんが最初に受診する診療科は、内科が60%以上を占め精神科や心療内科といった専門医を初診する患者は10%未満との報告もあります。

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  • このような身体症状が優勢で、憂うつ気分などの精神症状が目立たないうつ病「仮面うつ病と呼ばれていて、どの年代にも起こりますが、中高年で多いことが知られています。
    その場合にはうつ病とわかるまで、一般診療科を転々とする(ドクター・ショッピング)ことも少なくありません。
    したがって、一般診療科に受診され、からだの症状について検査しても原因が見つからない場合は、うつ病を疑うことも必要になるわけです。とくに高齢者ではその傾向が高いため注意が必要です。