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高齢者うつ病の臨床的特徴

身体症状へのとらわれが目立ちます

  • 痛み、めまい、胃腸症状、呼吸困難、動悸、排尿困難、頻尿、便通異常などの身体的不定愁訴が中心で、抑うつ心性はあまり目立ちません。
    仮面うつ病(masked depression)
  • プライマリケアで診療される患者の10~18%にうつ病が存在し、その約半数が仮面うつ病であるという報告もあります(Kielholz, 1973)。
  • 仮面うつ病は、あらゆる年齢で起こりますが、中年以降に最も多く、うつ病ということが分からずに、身体科を転々としたり、適切な治療が長期されないままになっていることも少なくありません(Lesse, 1983)。
  • 仮面うつ病は、軽症うつ病の代表的な病態と言われる一方で、その本態は内因性のうつ病であるという議論もありました。
    • 実際には、神経症性レベルから内因性レベルまでの幅広い病態だと思います。
      内因性の場合は、症状の訴えの深刻さや執拗さが強くなります。また、身体症状の日内変動があり、例えば朝方痛みが強くて、夕方には痛みが軽減するなどの症状があれば、より内因性うつ病を疑います。その場合は、三環系抗うつ薬などが奏功する場合があります。

身体疾患に伴ううつ病が多い

  • 高齢発症のうつ病では若年発症の高齢うつ病者より高率に身体疾患がみられます。身体疾患そのものがうつ病を引き起こすこともあり、その場合、治療反応性が悪かったり、再発の危険性などの予後の悪さと関連していると言われています。
  • 身体疾患を合併する患者に対してもうつ病治療をすることで、基礎疾患の予後を改善させることが示されていますので、基本的には身体疾患の治療と並行して、うつ病治療を行います。
    • 注意点としては、複数の薬剤が投与されていることが多かったり、肝機能や腎機能が低下している場合もありますので、薬物相互作用やその他の副作用に十分注意する必要があります。

 

薬剤性のうつ病が多い

  • さまざまな薬剤が、うつ病を引き起こすことがありますので、投与されている薬剤は必ずチェックする必要があります。薬剤性のうつ病が疑われた場合、可能であれば原因薬剤の減量や変更が必要になります。また、それが難しい場合も含めて、やはり同時並行的にうつ病治療を行う必要があります。

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 思考力の鈍化が起こります

 

自殺企図者に占める自殺既遂率が若年うつ病の2~5倍(Draper, 1996)

  • 自殺の危険因子:自殺企図の既往、身体疾患の合併、飲酒の増加、強い焦燥感、絶望感や無価値感、うつ病に対する適切な治療の欠如(Zisook, 1996)
  • 高齢者の場合は、自殺未遂ではなくで、本当になくなってしまう方が多いので、十分な注意が必要です。
  • 日本人の場合、単身生活者よりも、家族と同居している方の方が自殺率が高く、おそらく、高齢者の場合、家族に迷惑をかけるくらいなら自分がいなくなった方がましと考えてしまうのかもしれません。

若年者と比較すると不安焦燥が強いタイプが多く、心気妄想や貧困妄想などの妄想を伴う精神病性のうつ病が多いことが指摘されています。