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長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

長谷川和夫先生(認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長、聖マリアンナ医科大学名誉教授)が作成されたHDS-Rは、最も汎用されている認知症の評価スケールです。

作成者の長谷川先生(89歳)が自ら認知症になったことを公表して、ありのままを受け入れ、「自分が話すことで認知症の理解が深まれば、認知症の人の環境にもプラスになる」と述べられていて、感銘を受けました。

長谷川先生が罹患したという嗜銀顆粒性認知症(argyrophilic grain dementia: AGD)とはどんな認知症でしょうか?

  • 高齢者の5~9%でみられますので、決してまれな疾患ではありません。AGDは他の変性疾患と合併することが多く、特に大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration: CBD)では高頻度に合併します。脳内に特徴的な嗜銀性顆粒を認める認知症であり、病理学的な疾患概念です。
  • 臨床的には、高齢発症で記憶障害で発症しますが、進行は緩徐で、頑固、易怒性、自己中心的な行為などFTDと類似の症状を呈します。記銘力低下の割りに認知機能障害は比較的軽度で、日常生活の自主性は保たれていることが多いといわれます。CoE阻害薬の効果は限定的で、左右差を伴う迂回回を中心とする側頭葉内側面前方の萎縮、海馬傍回の萎縮の程度がMMSEの得点に比して高く、機能画像では左右差を伴う側頭葉内側面の低下、脳脊髄液検査では、Aβ42、タウやリン酸化タウは大部分が正常です

長谷川先生は、とっても穏やかな先生ですので、易怒性などの出現は起こらないように思います。基本的にはさまざまな認知症で起こるBPSDは本来の性格特性や環境要因が影響を与えるのではないかと考えています。

長谷川先生は、HDS-R検査について、「安易に使われすぎて、本人の気持ちを考えずに検査をする医者がいる。質問で「お年はいくつですか」と、のっけから大事な個人情報を聞く。それからいい大人に「100から7を引くと、いくつですか」とも尋ねる。冗談じゃない、何を言っているんだと怒るのは当然でしょう。診察に必要だからと、医者の側が本人と家族に協力をお願いする姿勢が必要なんだ」と語っています。

 

長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)

簡便で、5分程度で施行可能です。

【HDS-Rの評価項目】

  1. 年齢(1点)
    • 年齢はいくつですか(正答で1点)
      (2年までの誤差は正解、生年月日を答えられてもダメ)
  2. 日付の見当識(4点)
    • 今日は何年ですか
    • 何月ですか
    • 何日ですか
    • 何曜日ですか
      (順不同に尋ねることは可、正答で各1点)
  3. 場所の見当識(2点)
    • 私たちが今いるところはどこですか
      (場所が本質的にとらえられていれば正答とみなし、病院名、施設名、住所などが答えられなくても良い。自発的に答えられれば2点、5秒程度待って「ここは病院ですか?施設ですか?家ですか」のように問いかけ、正答なら1点)
  4. 即時記憶(3点)
    • これから言う3つの言葉を言ってみてください。後でまた聞きますのでよく覚えておいてください。
      • 桜、猫、電車 または
      • 梅、犬、自動車
        (1つの言葉に対して1点)
  1. 計算(2点)
    • 100から7を順番に引いてください。(100―7は?、それからまた7を引くと?と質問する。
      (正答に対して各1点だが、最初の計算に失敗したら打ち切る)
      (この場合、93から7を引くと、と質問してはダメです。93という答えを出したことを記憶して、そこからまた7を引くという作業記憶の確認が重要)
  1. 逆唱(2点)
    • 私がこれから言う数字を逆から言ってください
      • 「6-8-2」
      • 「3-5-2-9」
        (正答に対して各1点、最初の逆症に失敗したら打ち切る)
        (この場合早口で数字を伝えると、1つのまとまったフレーズになってしまうので、1つの数字を1秒程度間隔を開けて、伝えることが必要)
  1. 遅延再生(6点)
    • 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください
      (質問4で使用した言葉を、もう一度言ってもらう、自発的に答えられたら各2点、出てこなかった言葉に対してそれぞれヒント:a)植物、b)動物、c)乗り物、を与えヒントによって答えられたら各1点)
  2. 視覚記憶(5点)
    • これから5つの品物を見せます、それを隠しますので何があったか言ってください。順番はどうでもかまいません。と教示
    • 時計、鍵、ペン、歯ブラシ、スプーンなど
      (物品は相互に無関係なものを名前をいいながら一つずつ並べる。各正答に1点)
  3. 語想起・流暢性(5点)
    • 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください
      (5個までは採点せず、6 個以上に1 点ずつを加算していく。重複してもかまわないが、それは採点しない。途中で言葉に詰まり約10秒たっても出てこなければ打ち切る)

 

判定方法

  • 最高得点は 30 点満点であり、20 点以下を認知症の疑い、21 点以上を正常と判定した場合の感受性は93、特異性は0.86。
  • HDS-Rは認知症のスクリーニングを目的に作成されたものであり得点による重症度分類は行わない。しかし、各重症度群間に有意差が認められているので、以下に平均得点を示す。

 非認知症:24±4、軽度:19±5、中等度:15±4、やや高度:11±5、非常に高度4±3

 

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