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BPSD(行動・心理症状)の治療

BPSDに対する治療の原則

  • まず治療が必要なBPSDかを検討
    • 本人にとって苦痛や負担 になっている場合
    • 介護者や家族の負担になっている場合
  • BPSD原因の検索
    • 身体疾患
    • 併発症の治療薬剤
    • 環境・状況(家族関係、介護者の誤った対応など)
  • 原因に対する治療を優先
    • 身体疾患の治療、服用薬剤の調整   
    • 環境調整や介護の工夫
    • 福祉サービスの利用、非薬物療法 
    • 認知症薬による効果を確認(抗認知症薬で悪化する場合もある)
  • 上記によっても改善されない場合

 

BPSDに対して使用される薬剤

 

  • 抑肝散
    • 本来は、神経症不眠症、小児夜なき、小児疳症に効能
    • 興奮、易刺激性などを抑えるが、妄想、幻覚、うつ、不安など多岐にわたる症状に効果。
    • 過鎮静や錐体外路症状などの副作用が少ない。
    • ときに消化器症状や低カリウム血症などの副作用が出現。
    • 抑肝散加陳皮半夏は、体力がより低下した患者や消化器症状のある患者に適している。

  • 人参養栄湯
    • 本来は、病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血などに効能
    • 最近、認知症のうつ、意欲低下だけでなく認知機能改善効果があることが示されている。
    • ときに、食欲不振、胃部不快、嘔気などが出現。

 

  • 抗うつ薬
    • ADの20~50%に大うつ病を合併し、その結果QOLが低下し、介護者の負担が大きくなる。
    • 三環系抗うつ薬(TCA)はせん妄の誘発などがあるため使用は控える。
    • SSRISNRI、NaSSAを低用量から開始し、増量も副作用に注意し緩徐に行う。
    • アンセリントラゾドンはせん妄にも有用。

 

  • 抗不安薬
    • ベンゾジアゼピン(BZ)は転倒や認知機能悪化に注意。短時間型のBZを限定的に使用。
    • 5-HT1A部分作動薬であるタンドスピロンは、効果発現まで2~4週間要するが、認知機能低下や筋弛緩作用などは少ない。

 

  • 睡眠薬
    • 超短時間型や短時間型のBZ系睡眠薬を限定的使用。
    • 非BZ(Z-drug)のエスゾピクロン、ゾピクロン、ゾルピデムは、筋弛緩作用や反跳性不眠が少ない。
    • メラトニン受容体作働薬のラメルテオンや、オレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントはせん妄の予防効果が報告( Hatta K, et al, 2014、2017)されているので、せん妄予防としても有用。

 

  • 気分安定薬
    • バルプロ酸カルバマゼピン、ラモトリギンは、幻覚妄想に対する効果は乏しいが、易刺激性や興奮、異常行動に対して効果。
    • 発疹や肝障害、汎血球減少などの副作用も比較的多いため、少量から開始して増量も慎重に行う。

 

  • 抗精神病薬
    • 高齢者の認知症患者のBPSDに対して抗精神病薬の投与は死亡リスクを上昇させるとの報告があるため、十分な説明と同意が必要であり、投与量、投与期間を必要最低限にする。

    • BPSDやせん妄に対して
    • 定型抗精神病薬の中では、点滴静注が可能なハロペリドールが使用されることが比較的多いが、錐体外路症状(EPS)の出現に注意。
    • 非定型抗精神病薬では、リスペリドン(液剤あり)、クエチアピン(糖尿病禁忌)、オランザピン(糖尿病禁忌)、アリピプラゾール(液剤あり)などが推奨。本邦で開発されたブロナンセリンやペロスピロンも一定の効果。

      ※大規模な臨床試験による有効性と安全性の検討による保険適応が課題