therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

現在の主要な睡眠薬

理想の睡眠薬 

  • 入眠困難に効果がある
  • 睡眠維持困難に効果がある
  • 翌日への持ち越し効果がない
  • 耐性、依存性、離脱症状がない
  • 日中の機能を改善する 

数多くの睡眠薬がありますが、不眠症患者さんのニーズは十分に満たされていません。

 

不眠症治療の歴史

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ベンゾジアゼピン薬剤の服用量(国連レポート)

日本は欧米と比べてベンゾジアゼピンの処方量が多く、患者さんの服用量が多いことが示されています。

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ベンゾジアゼピンの問題点

  • なかなかやめられなくなるといった依存の形成→長期連用
  • 認知機能の低下やせん妄の出現、とくに高齢者や脳器質疾患・身体疾患を合併されている方ではその傾向が強くなります。
  • 筋弛緩作用による転倒、骨折リスクの増加
  • 多めに飲んでしまう乱用や過量服用→呼吸抑制作用がありますので、過量服用は死のリスクもあります。

 

現在の主要な睡眠治療薬

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  • 新クラスの薬剤は、GABA受容体作動薬とは作用メカニズムが異なるため、半減期による分類にあてはめることはできません。

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ベンゾジアゼピン睡眠薬の止め方

  • 短時間作用型:1-2週間おきに1/4ずつ減量(漸減法
    • 漸減当初は不眠を強く自覚するが、不眠が治っていれば徐々に改善
    • 眠れない状態(反跳性不眠)が出たら1段階戻る
  • 長時間作用型:一定量減量後隔日にしてから中止(隔日法
  • 漸減法と隔日法を組み合わせる
  • 短時間作用型は止めにくいので、長時間作用型に置き換えてから減量中止
  • ラメルテオンやズボレキサントに置き換えてから中止→眠れないときのみ全薬を頓用使用

 

次回、新しいクラスの睡眠薬の詳細をご説明します。