REM睡眠行動障害(REM Sleep Behavior Disorder:RBD)
- レム睡眠中に起こる夢体験に一致した夜間異常行動で、寝室周りの物を壊わしたり、ベッドパートナーに外傷を負わせることもあります。
- 刺激による覚醒は速やかで、夢の再生は可能です。
- 有病率は0.38~0.5%で、50歳以上の男性に圧倒的に多い。
- パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症などの神経変性疾患との関連で、α-シヌクレイノパチーの前駆症状(10年後に5~90%発症)
- 睡眠ポリグラフにおいて筋緊張低下を伴わないレム睡眠を確認
- リチウム、抗精神病薬、三環系抗うつ薬(TCA)、SSRI、SNRIで誘発、悪化
- 治療は、クロナゼパム、プラミペキソール、カルバマゼピン(CBZ)、抑肝散
67歳の男性が、寝ていて奥さんを殴るようなことが何回かあり、奥さんも怖くなって一緒に受診されました。RBDの診断で、クロナゼパム(リボトリール®)で、夜間の異常行動はなくなりましたが、将来レビー小体型認知症の症状とかが出現しないか、注意深く経過を診ています。
(参考)
DSM-5 診断基準
- A.睡眠中に発声および/または複雑な運動行動を伴う覚醒エピソードの反復
- B.こねらの行動はレム睡眠中に生じ、したがつて、通常は入眠から90分以上経過して,睡眠時間の後半により多く起こるが昼寝の間に起こることは多くない
- C.これらのエピソードから覚醒するとき、その人は完全に覚醒しており、敏感であり、混乱や失見当識はない
- D.以下のうちのいずれかにあてはまるi
- E.その行動は、臨床的に意味のある苦痛または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている(自傷または一緒に床につく人への傷害を含んでいるかもしれない)
- F.その障害は物質(例:乱用薬物、医薬品)による生理学的な作用または他の医学的疾患によるものではない
- G.併存する精神疾患または医学的疾患では、そのエピソードを説明できない診断