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身体症状症および関連症群

身体症状が中心ですので、精神科領域よりも一般診療科への受診が多くなる疾患です。

DSM-IV-TRまでは「身体表現性障害」に分類された診断項目は、多くの重複があり診断の境界が不明瞭で、精神科領域外の医療者が診断基準を理解して使いこなすことは困難でした。DSM-5では、この重複を改め診断分類を再編して、「身体症状症および関連症群という分類に改めています。

これまでの診断基準は医学的に説明がつかないことを要件としていましたが、医学的な原因を明らかにできないという理由で精神疾患の診断をつけることは適切ではないため、実際に身体疾患があったとしても、その捉え方を重視した診断基準になりました。

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身体症状症(Somatic Symptom Disorder)

1つ以上の身体症状に対する過剰で不適応的な思考、感情、および行動に関連した持続的な複数の身体的愁訴が特徴です。症状は意図的に作り出されたものではなく、既知の身体疾患を伴うこともあれば、伴わないこともあります。

この疾患を持つ人は、自分の症状を、身体疾患によると考えているため、検査などの結果で異常が示されなくても、その後も医師に検査や治療を強く求め続けます(ドクターショッピング)。

 

病気不安症(Illness Anxiety Disorder)

重い病気にかかっている、またはかかりつつあるという、とらわれと恐怖であす。検査を何度もやって説明しても、恐怖および症状が6カ月以上持続する場合に診断されます。

  

変換症/転換性障害(機能性神経症状症)Conversion Disorder (Functional Neurological Symptom Disorder))

従来の転換型ヒステリーに相当し、無意識的な動機(心因)による運動または感覚機能の変化の症状です。精神的ストレス因で症状の増悪など変動があります。診断は、原因としての身体疾患を除外した後,病歴に基づいて行います。(例:失立失歩、けいれん発作、失声、視野狭窄、難聴など)

 

他の医学的疾患に影響する心理的要因(Psychological Factors Affecting Other Medical Conditions) 

心理的または行動的要因が既存の医学的疾患の経過または転帰に有害な影響を及ぼしている場合に診断されます。いわゆる心身症がこの診断に当てはまります。

 

作為症/虚偽性障害(Factitious Disorder) 

自分自身または他者に負わせる身体的または心理的な徴候と症状のねつ造で、これらはごまかしであることがわかっています。外傷または疾病を誘発して自分自身または他者に対する治療を求める可能性もあります。診断には、その人が明らかな外的報酬がない中で、病気または外傷の徴候または症状について事実を曲げて述べていたり、それらを引き起こす目的で不正行為を行っていることを示す必要があります。

 

他の特定される身体症状症および関連症(Other Specilied Somatic Symptom and Related Disorder)

 身体症状症および関連症群の診断分類のいずれも完全には満たさない場合に適用されます。「他の特定される」という用語を使用して特定できる症状の例は、①6ヵ月未満の短期身体症状症あるいは②短期病気不安症、③過剰な健康関連行動を伴わない病気不安症、④想像妊娠

 

特定不能の身体症状症および関連症(Unspecified Somatic Symptom and Related Disorder)

 身体症状症および関連症群の診断分類のいずれも完全には満たさない場合に適用されます。診断を行うには情報が不十分であるという明らかに特殊な状況以外では使われるべきではありません。

 

(参考)

身体症状症(Somatic Symptom Disorder)の診断(DSM-5)抜粋

A.1つ以上の苦痛を伴う、または日常生活に意味のある混乱を引き起こす身体症状

B.身体症状、またはそれに伴う健康への懸念に関連した過度な思考、感情、または行動で,以下のうち少なくとも1つによって顕在化する.

  1. 自分の症状の深刻さについての不釣り合いかつ持続する思考
  2. 健康または症状についての持続する強い不安
  3. これらの症状または健康への懸念に費やされる過度の時間と労力

C.身体症状はどれひとつとして持続的に存在していないかもしれないが、症状のある状態は持続している(典型的には6カ月以上) 

  • 該当すれば特定せよ
    • 疼痛が主症状のもの(従来の疼痛性障害) 
  • 該当すれば特定せよ
    • 持続性:持続的な経過が重篤な症状、著しい機能障害、および長期にわたる持続期間(6ヶ月以上)によって特徴づけられる.
  • 現在の重症度を特定せよ
    • 軽度:基準Bのうち1つのみを満たす.
    • 中等度:基準Bのうち2つ以上を満たす.
    • 重度:基準Bのうち2つ以上を満たし、かつ複数の身体愁訴(または1つの非常に重度な身体症状)が存在する.

病気不安症(Illness Anxiety Disorder)の診断(DSM-5) 

A.重い病気である、または病気にかかりつつあるというとらわれ

B.身体症状は存在しない、または存在してもこく軽度である 他の医学的疾患が存在する、または発症する危険が高い場合(例:濃厚な家族歴がある)は、とらわれは明らかに過度であるか不釣り合いなものである.

C.健康に対する強い不安が存在し、かつ健康状態について容易に恐怖を感じる.

D.その人は過度の健康関連行動を行う(例::病気の徴候が出ていないか繰り返し体を調べ上げる)、または不適切な回避を示す(例:受診予約や病院を避ける)

E.病気についてのとらわれは少なくとも6ヶ月は存在するが、恐怖している特定の病気は,その間変化するかもしれない.

F.その病気に関連したとらわれは、身体症状症、バニック症、全般不安症、醜形恐怖症、強迫症、または「妄想性障害、身体型」などの他の精神疾患ではうまく説明できない. 

  • いずれかを特定せよ
  • 医療を求める病型
    • 受診または実施中の検査および手技を含む,医療を頻回に利用する
  • 医療を避ける病型
    • 医療をめったに受けない

 

変換症/転換性障害(機能性神経症状症)Conversion Disorder (Functional Neurological Symptom Disorder)の診断(DSM-5)抜粋 

A.1つ以上の随意運動、または感覚機能の変化の症状

B.その症状と認められる神経疾患または医学的疾患とが適合しないことを裏づける臨床的所見がある.

C.その症状または欠損は、他の医学的疾患や精神疾患ではうまく説明されない

D.その症状または欠損は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている、または医学的な評価が必要である.

コードするときの注:変換症のlCD-9‐CMコードは300.11で、これは症状の型にかかわらず与えられる ICD-10-CMコードは症状の型による(下記を参照)

  • 症状の型を特定せよ

(F44.4)脱力または麻痺を伴う

(F44.4)異常運動を伴う(例:振戦、ジストニア運動、ミオクローヌス、歩行障)

(F44.4)嚥下症状を伴う

(F44.4)発話症状を伴う(例;失声症、ろれつ不良など)

(F44.5)発作またはけいれんを伴う

(F44.6)知覚麻痺または感覚脱失を伴う

(F44.6)特別な感覚症状を伴う(例:視覚、嗅覚、聴覚の障害)

(F44.7)混合症状を伴う

  • 該当すれば特定せよ
    • 急性エピソード:6カ月未満存在する症状
    • 持続性:6カ月以上現れている症状
  • 該当すれば特定せよ
    • 心理的ストレス因を伴う(ストレス因を特定せよ)
    • 心理的ストレス因を伴わない 

 

他の医学的疾患に影響する心理的要因(Psychological Factors Affecting Other Medical Conditions)

A.身体症状または医学的疾患が(精神疾憲以外に)存在している

B.心理的または行動的要因が以下のうちの1つの様式で医学的疾患に好ましくない影響を与えている

  1. その要因が、医学的疾患の経過に影響を与えており、その心理的要因と、医学的疾患の進行、悪化、または回復の遅延との間に密接な時間的関連が示されている
  2. その要因が、医学的疾患の治療を妨げている(例:アドヒアランス不良)
  3. その要因が、その人の健康へのさらなる危険要因として十分に明らかである
  4. その要因が、基礎的な病態生理に影響を及ぼし、症状を誘発または悪化させている、または医学的関心を余儀なくさせている

C.基準Bにおける心理的および行動的要因は、他の精神疾患(例:パニック症、うつ病心的外傷後ストレス障害)ではうまく説明できない 

  • 現在の重症度を特定せよ
    • 軽度:医療上の危険性を増加させる
    • 中等度:基礎にある医学的疾憲を悪化させる
    • 重度:入院や救急受診に至る
    • 最重度:重篤で生命を脅かす結果になる