心身症(psychosomatic disease)
定義と位置づけ
- 症状は器質的・機能的身体症状であるが、その発症や経過に精神的葛藤や心理社会的因子が明確に関与する。心身症は単一疾患ではなく多数の疾患があり、それらの病態をさす。DSM、ICDでは、心身症という用語は用いられていない。
- DSM-Ⅳ-TRの身体表現性障害としばしば混同されたが、心身症は身体疾患の診断が確定していること必要であり異なる概念。心身症は多軸診断の第1軸に、身体疾患に影響を与えている心理的要因(psychological factors affecting medical condition )を記載することになっていた。
- 2013年のDSM-5では、心身症は「身体症状症および関連症群」の中の「他の医学的疾患に影響する心理的要因」(Psychological Factors Affecting Other Medical Conditions) として明確な診断基準が設けられた。前述したが以下に再表示。
DSM-5 診断基準 316(F54)
他の医学的疾患に影響する心理的要因(Psychological Factors Affecting Other Medical Conditions)
A.身体症状または医学的疾患が(精神疾患以外に)存在している
B.心理的または行動的要因が以下のうちの1つの様式で医学的疾患に好ましくない影響を与えている
- その要因が、医学的疾患の経過に影響を与えており、その心理的要因と、医学的疾患の進行、悪化、または回復の遅延との間に密接な時間的関連が示されている
- その要因が、医学的疾患の治療を妨げている(例:アドヒアランス不良)
- その要因が、その人の健康へのさらなる危険要因として十分に明らかである
- その要因が、基礎的な病態生理に影響を及ぼし、症状を誘発または悪化させている、または医学的関心を余儀なくさせている
C.基準Bにおける心理的および行動的要因は、他の精神疾患(例:パニック症、うつ病、心的外傷後ストレス障害)ではうまく説明できない
- 現在の重症度を特定せよ
- 軽度:医療上の危険性を増加させる
- 中等度:基礎にある医学的疾憲を悪化させる
- 重度:入院や救急受診に至る
- 最重度:重篤で生命を脅かす結果になる
主な心身症
以下のようなさまざま疾患が心身症としてあげられるが、もちろん以下の疾患に罹患している人がすべて心身症というわけではありません。
特徴
- 病前性格:周囲への過剰適応(神経症とは異なる)
- 気配りする一方で、自分の感情には鈍感
- これを失感情症(アレキシサイミアalexithymia)という
- 機能障害から器質障害に進む
- 症状は特定の器官に固定する
治療
非薬物療法