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抗うつ剤神話の憂うつなジレンマ

抗うつ薬は、うつ病に対してどこまで効果があるのでしょうか?

 

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  • Newsweekの2010年3月10日号で、「抗うつ剤神話の憂うつなジレンマ」という記事が載せられました。

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(Kirsh I. et al. PLoS Med., 2008).

  • 英国ハル大学のアーヴィング・キルシュ教授らの研究チームは、「抗うつ剤は重度のうつ病患者には有効だが、軽度から中等度のうつ病患者に対しては、プラセボ(偽薬)と変わらない」とする研究結果を発表しました。 
  • この研究は、FDAアメリカ食品医薬品局)での承認時に提出されている47の治験データについて、fluoxetine(本邦未承認) 、ベンラファキシン、nefazodone(本邦未承認)、パロキセチンの4剤のメタ解析を行ったもので、研究者らは「軽度から中度のうつ病患者については、代替療法(非薬物療法)で効果が得られなかった場合を除き、抗うつ剤を処方する理由はほとんどない」としています。

 

  • 以前からうつ病に対するプラセボ効果は非常に高いことが、知られています。これはプラセボ(偽薬)でも、抗うつ薬だと信じて飲めば、抗うつ薬の直接的な脳への化学的作用がなくても効果を発揮するということを示しています。
  • この薬を飲めば治るかもしれないと思う期待感が効果を発揮するということは、換言すれば、この先生にかかったら、きっとうつ病が治ると信じるだけでも効果があるかもしれないということです。
  • ですので機械的に投薬だけして、患者さんの本当の苦しみを理解して共感できないような医師にかかっても改善は乏しいということになるのかもしれません。

 

  • 上記の結果などから、英国のNICEガイドラインでは軽症うつ病では薬物療法ではなく認知療法を第一選択の治療として推奨し、認知療法の研修を受けて対応できる人の育成が進んでいます。
  • 日本では、認知療法の専門家の育成がまだまだ不十分ですが、認知(行動)療法が軽症から重症、あるいは慢性化したうつ病においても効果があることは明かであり、薬物療法との併用がより効果的だと思います。