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ホーナイの理論と3つのタイプ

ホーナイの理論

  1. 「真の自己」の存在
  • 人間は、機会を与えられれば自分に内在するさまざまな可能性を発展させ、人は自分の価値感とか生きる目的を発見する。
  • あらゆる人間に共通にあり、独自なもので、成長の深い源泉である内的な中心になる力が「真の自己」であり、人間とは、自己実現へと成長して行くものである。これがホーナイの基本的な人間についての考えである。
  1. 基本的不安
  • 幼児は自分の安全を脅かす人々に対して敵意を抱くが、生物学的、情緒的、社会的に、まわりの人々に依存して無力のため敵意を抑圧する必要がある。
  • 反抗や自己主張が許されない無防備の状態になるので、幼児の無力感は増大して不安は解決されない。
  • この感情をホーナイは「基本的不安」と名付け、自分の愛情的孤立と本来的な脆弱感を意味していて、神経症の成立する上で基本的な役割を果すと考えている。
  • 子供には基本的不安に対する3つ防衛方法があるという。
    1. 人に対して近づいていく態度
    2. 人に反抗する態度
    3. 人から離れていく態度
  • この3つの態度はお互いに矛盾する方向で、葛藤的なものであるので、この3者の引き起こす葛藤を「基本的葛藤」と呼ぶ。 
  1. 神経症的態度の発展
  • 3つの態度のどれを選択するかは、幼児の置かれた状況やその気質によって異なる。暖かい人間関係を経験することで基本的不安から救われると、こうした態度もその神経症的傾向を失うことがある。しかし、そうした機会に恵まれないと、こうした態度の発展は、他者との関係を病的な、人為的な、強迫的なものにするばかりでなく、自己との関係においても「真の自己」からの疎外へと導く。
  • 不安定に耐えられない存在は、安定をもたらす方法として、3つの態度のうち優位な1つの態度を選び、他の2つの態度を抑圧し、葛藤を意識しない状態を作り、表面的には統一的になる。あるいは、3つの態度を領域の異なる区画に分け、ひとつの区画内に起きることは他の区画に関係がないと感じることで葛藤を生じないようにする。これらの矛盾する態度を、自分の人格のそれぞれの側面として感じ、自分を豊かな人格であると考えて幻想的なアィデンティティを感じるようになる。 
  1. 神経症的自己の確立―仮幻の自己
  • 1つの態度が理想像として美化され、価値づけられ、それと矛盾する他の態度が抑圧された場合でも、抑圧された態度も同じく美化されている。3つの態度が、それぞれ区画化される方法をとった場合にも、それぞれが美化される。
  • 神経症者は、理想像と現実の自分の間でゆれ動くが、不安を解決するために、真の自己を放棄し、同一化による虚像が自分に化する。この偽りの自己が神経症的自己であり“仮幻の自己”と言われる。
  • 仮幻の自己は、さまざまな葛藤や矛盾を網羅的に解決し、劣等感や焦燥や分裂感や絶望感が消え失せる。神経症者にとって仮幻の自己は、何ものにも換えがたく、必死になって防衛する。
  • 仮幻の自己の完成は、基本的不安にはじまる神経症的傾向の発展の必然的結果であり、仮幻の自己を中心として発展する新しい神経症的生き方の起点となる。 
  1. 神経症的自己の特徴
  • 仮幻の自己という神経症的自己が成立すると、本来、真の自己の実現へと注がれる生命エネルギーは、神経症的自己の実現へと傾注される。
  • 葛藤による不安によって迫られる神経症自己実現の衝動は、強迫的、完全主義的な性格をもっている。
  1. 他に対する神経症的要求
  • 対人関係や現実が彼等の欲求や願望を充足しない場合、不正であり責められるべきは他者や現実であって自分ではないと考え、それらに対して激しい怒りと敵意を感じる
  • あまりにも勝手だと思われる要求も、本人は無意識であり、盲目的に飽くことのない追求をする。この要求が本人にとっては、自分そのものである仮幻の自己の安否にかかわることであり、それの実現のために必要欠くべからざるものであることを考えればこのような態度を理解することができる。 
  1. 自己に対する神経症的要求
  • 仮幻の自己は、現実の自己に対し、「汝かくあるべし」あるいは「汝かくあるべからず」という絶対命令の実行を要求する。
  • 神経症者はそれらの要求を実現するため、どんなことも不可能ではないという前提に立っているので、その要求には無意識的な傲慢さがある。また、要求に対して、冷酷であったり、親切であったり、極端に矛盾した態度をとったりする。
  • 苛酷な要求による自発性の喪失は、感情、願望、思想、信念にも及んで、いわば、“自発的に強迫的”な態度となる。
  • 神経症者は自分の不安の解決のための仮幻の自己の絶対命令に縛られ、それに背くことは自分のアイデンティティ、価値感、安全感を失うことになるため必死にその要求に応えるべく努力する。
  1. 神経症的誇り
  • 仮幻の自己に、自分のアイデンティティを見るときには、想像に基づいた優越した自分を感じている意味で誇りである。この誇りは、真実に基づいていない点で、“神経症的誇り”と呼ぶ。
  • 神経症的誇りは、自信に等しい感じを与えるが、主観的な想像によるものなので脆弱で、傷つき易い。
  • この場合に生じる典型的な反応が恥の感情と屈辱感である。さらに、自分の誇りを守るための方策が回避や無関心で、個人をその真の自己から遠ざけていくことになる。 
  1. 現実の自己に対する態度―自己憎悪と自己嫌悪―
  • 仮幻の自己への誇りの標準が高ければ高いほど、現実の自分はその劣弱性の故に憎むべき、軽蔑すべきものになる。
  • 自己憎悪は、他人との比較に関心をもつときに現われ、他者が自分に対して常に憎悪をもち、拒絶しているという確信から対人関係を不安なものにさせる。
  • 神経症者にとって、自己憎悪の結果から免れるためには、ますます、自分の仮幻の栄光の自己に同一化して現実の自己の劣弱性から眼をそらすしかないが、それは、また、自己憎悪を招くという悪循環に陥るのである。 
  1. 真の自己への態度ー自己疎外
  • 真の自己は当然現実の自己の中に潜在するが、神経症的誇りは、現実の自己を恥じ、憎悪し、破壊し、否定し、これに対して何等の興味を示さないから、真の自己に対する認識をもつ機会がない、こうした態度によって、真の自己の発展は阻まれ、疎外される。
  • 神経症者におけるもっとも決定的な基本的葛藤は人間本来に具有する真の自己と神経症的自己の葛藤であるとホーナイは考えている。

 

人間関係における3つのタイプ

  1. 自己拡大的支配型
    • 自己を優越した、強力な支配者的な理想像と同一化して、不可能なことはなく、常に讃美と栄光に輝く勝利者になる。この型の人は、幼児期からの人間関係の葛藤を力の原理によって解決する。この型はさらに3つの種類に分けられる。
      • 自己讃美型
      • 完全主義的傾向
      • 傲慢・復讐的傾向
  1. 自己縮小的依存型
    • 前タイプと正反対で、優越や支配を抑圧し、自分を無力で苦しんでいるものと見なし、他者の保護、助力、愛情を求める。
    • 人に従って行く態度が主で、愛情を得るために、自己主張や、敵意や反抗を抑圧し、人に気に入るように、従順に、人のために犠牲になっても好意を得ようとする。
  1. 自己限定型―断念
    • 他から離れて、距離を置き、自分の中に引きこもることで葛藤を解決して、自分の願望や必要な欲求を断念する。
    • 真の自己に対して、抑圧しきってはいないが、少しも発展させないので、消極的な自己疎外であり、惰性的で現状維持的な、安易で怠惰な生活となる。

 

 

(近藤章久:現代精神病理学のエッセンス-フロイト以後の代表的精神病理学者の人と業績-参照)