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アーヴィン・カーシュの反応期待説

アーヴィン・カーシュの反応期待説

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アーヴィン・カーシュ(Irving Kirsch, 1943 -)

カーシュによると、我々の行動は、これから一体どのような反応が起こるのかという期待感によって決定される。この最も極端な例がプラセボ効果であり、薬物成分が全くないのに鎮痛効果が起こるというプラセボ効果は、まさに期待感によるものであり、パーキンソン病の治療や、うつ病抗うつ剤の治療でもプラセボ効果が影響することが認められている。プラセボ効果のメカニズムは、十分解明されていないが、それが期待感と深く関連していることは明確である。プラセボ効果を含む反応期待が社会認知理論で注目されるのは、その効果が非自発的であり、心理と生理と両面に影響を及ぼすからである。

彼によると、催眠反応とは催眠に対する被験者の反応期待によって生じた現象であり、その反応パターンは暗示や指示による期待感の操作によって決定される。反応期待説は、非状態論派バーバーの課題動機やスパノスの方索的役割履行、課題志向空想だけでなく、状態論派ヒルガードの隠れた観察者などの概念も明確に説明できるという。

予期するという行為そのものによって予期したことが現実化されるという、社会心理学「自己充足的予測」と呼ばれる法則が根底に潜んでいるとみなしてよいであろう。

催眠感受性については、期待感と期待能力の2要素から構成される反応であり、両者の関連はそれほど強くないが、例外として覚醒暗示に対する反応、催眠直後に測定された期待感と催眠感受性との間には高い相関関係が認められる。これは催眠に対する被験者の期待感がそれぞれの状況によって強まった結果によるものであり、例えば数日間における催眠研修で、参加者の催眠反応が日ごとに容易となる現象は、期待感によるものとみなしてよいであろう。

(高石昇、大谷彰:現代催眠原論、金剛出版、2015.参照)