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催眠誘導の原則

催眠誘導の原則

催眠をかける方法には弛緩という側面があり、閉眼、リラックス、緊張感のほぐれといった現象を伴うが、「催眠=弛緩」ではなく、覚醒状態催眠やリラックスさせることが困難であったり、極度に不安が強い場合にも催眠誘導は可能である。

また、エリクソン「自然発生トランス」という概念を提唱し、この中には、白昼夢や空想、忘我といった現象、何かに没頭しているときの状態などが含まれ、これまで異質とみなされていた変性意識状態を身近な概念にするのと同時に、新しい誘導技法の開発につながった。散りばめ技法、混乱技法、握手誘導、パントマイム法、メタファーなどがその代表であり、これらはリラクセーションや閉眼を必要とせず、伝統的な手法に加えて催眠誘導をいっそうダイナミックなものにした。

誘導の6原則

  1. 催眠誘導は被験者とのコミュニケーションであることを銘記する
    • 被験者に特定の暗示を与え、それに対する反応を観察し、それにもとづいて次の暗示を与える作業。被検者の反応に共感が加わるほどその質は密になり、両者の間にラポールが生じ、信頼関係が芽生え、誘導が進展する。催眠者は言語で暗示を与え、被験者は身体反応やさまざまなボディーランゲージで応答するのが特徴である。被検者の反応を一切無視して一方的に暗示を投げかけたり、暗示を「命令」とみなして高圧的に催眠を「かけよう」とすることは避けなければならない。トランス能力は被検者に内在するものであり、催眠者は被験者が自分の思いどおりにその能力を探求する適切な機会を提供するだけに過ぎないのである。
  1. 観察とペーシングを繰り返す
    • 観察はエリクソンが最も強調した原則の一つで、これを基礎にした暗示の与え方がペーシングである。彼は「個々のクライエントの示す規則的な特徴を観察する能力に比例して、催眠誘導の技量は増大する」と述べている。
  2. エスセットを活用する
    • 催眠者のコメントに繰り返し同意させることにより、暗示に対する被験者の反応を促進させるプロセスである。催眠者の発言に何度も「はい(イエス)」と答えることによって、被験者のメンタリティは段々とオープンになり、誘導暗示は逐次受け入れやすくなっていく。「今日は○曜日ですね」これが〇回目のセッションですね」「催眠に興味があるんですね」「ずいぶん暖かくなってきましたね」とかわかりきった事実や自明の理とされることがらを述べることが最も簡単な方法である。
      エスセットは誘導に対して否定的な態度や抵抗を示す被験者に対しても有効であり、「自分は催眠にはかからないと思うのですね」「催眠状態はどんな状態になるのか、ちょっと不安なのかもしれませんね」など、被験者の否定的な考えや感情、抵抗反応をそのままコメントすればよい。
  3. 暗示は外面から内面へと進める
    • 催眠誘導は、まず外的要因である被験者を取り巻く状況に焦点をあて、誘導の進行とともに被験者の内面に向けてゆき、ついには記憶や空想、身体感覚などに没頭させるように仕向ける。こうすることによって、被験者の心的解離や退行による一次過程思考、非自発感といった現象が促進される。
  4. 暗示の内容と話法に細心の注意を払う
    • 誘導暗示の内容と口調に気を配る。被験者の理知的な判断や猜疑心を低下させるためには、言葉遣いに対する繊細さと配慮が必要とされる。暗示の作成に当たっては、型にはまった言い回しではなく、できるだけ被験者の個性を反映させたものであることが望ましい。暗示を書き出して、それを録音再生させて自分自身で聞いて確認してみることも一法である。
  5. 誘導に関わる社会認知要因を高める
    • 催眠誘導に先立ち被験者のモチベーションや期待感を高めておき、誘導中は予期された反応が被験者の役割として受け入れやすいように暗示を与える。こうした細心の注意とケアによって、被験者にとって安心できる場所が確立されると誘導は促進されやすくなる。

(高石昇、大谷彰:現代催眠原論、金剛出版、2015.参照)