向精神薬・薬物療法
ボルチオキセチン(トリンテリックス®) うつ病治療薬として、2013年に米国及び欧州で承認され、2019年日本でも承認され、2019年4月時点では世界80カ国以上で使用されている。 これまでにない3番目の新しいタイプの抗うつ薬 再取込み阻害薬 SSRI(選択的セロ…
不眠症治療アルゴリズム 睡眠衛生のための指導内容 睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン. 睡眠薬の適正使用及び減量・中止のための診療ガイドラインに関する研究班, 三島和夫, じほう, 39, 2014. 睡眠薬投与計画の重要性 有効性評価には一定の投与維持期間が…
新しい睡眠薬 レンボレキサント(デエビゴⓇ)とスボレキサント(ベルソムラⓇ)との比較 ヒトOX1R及びOX2Rに対する結合性と結合反応速度(in vitro) デエビゴⓇはノンレム睡眠の抑制にも関与するOX2Rへの親和性がより強く、結合・解離が速いことから、速やかな…
日本うつ病学会による双極性障害の治療ガイドライン *クエチアピン徐放剤のみ適用あり #本邦において双極性障害の各エピソードの適用外 日本うつ病学会:治療ガイドライン 双極性障害 2020より作成 CANMAT 2018 Guideline for the management of patients wi…
不安症に対するSSRI・SNRIの適応 赤字のみが日本で健康保険適応が認められている。 SSRIの長所と短所長所 三環系抗うつ薬に比べて、口渇、便秘、排尿困難、眠気、低血圧などの副作用が少ない ベンゾジアゼピン系抗不安薬比べ、依存性がなく、精神運動機能障…
向精神薬の適正使用-2018年診療報酬改訂- 3種類以上の抗不安薬、3種類以上の睡眠薬、3種類以上の抗うつ薬、3種類以上の抗精神病薬又は4種類以上の抗不安薬及び睡眠薬の投薬を行った場合(ロゼレム、ベルソムラを含む) 処方料 42点⇒18点 処方箋料 68…
不眠症治療の問題点 睡眠薬の1日当たりの処方量や多剤併用率が一貫して増加。 高齢化や震災、経済問題など多様なストレスを原因とする難治性の不眠症患者が増加。 医療者の知識不足による不適切処方、漫然とした長期処方による依存や乱用が存在。 睡眠薬に対…
向精神薬による口渇 口渇は、三環系抗うつ薬などの抗コリン薬は、とくに出現しやすい副作用ですが、その他の多くの向精神薬でも多かれ少なかれ出現します。 対処方法としては、シュガーレスのガムやキャンディーで緩和されることもあります。漢方薬では、白…
双極性障害に対するカルシウム拮抗薬 カルシウム拮抗薬は、高血圧や狭心症に対する治療薬ですが、精神科領域では、適応外ですが、躁病や気分周期が24時間以内のウルトラ・ラピッド・サイクラー型の双極性障害に対して用いられることがあります。 ベラパミル…
α2アドレナリン受容体作動薬であるクロニジン(カタプレスⓇ)は、ノルアドレナリンの分泌を抑制して血圧を下げる降圧薬として使用されていますが、精神科領域でも使用されます。グアンファシン(インチュニブⓇ)は、わが国においても注意欠陥多動性障害(ADH…
βブロッカーの精神科領域での使用 βブロッカーは本態性高血圧や狭心症、不整脈、片頭痛などの治療薬として良く用いられていますが、適応外ながら前述したアカシジアの治療や以下のような精神科領域でも多用される薬剤です。 パニック症、社交不安症に対する…
遅発性ジスキネジア 抗精神病薬の服用をはじめて3か月以上経過(多くは6ヶ月以上)してから出現する遅発性の副作用です。口周囲の運動異常の頻度が高く、口をもぐもぐさせたり、よじったり、舌を突き出したりするような不随意で不規則な運動が出現します。顔…
向精神薬によるアカシジア(静座不能症) アカシジアは、じっとしていられないような落ち着きのなさが出現して、そわそわと動き回ったり、足踏みや姿勢の頻繁な変更などが起こり、精神的にも強い不安焦燥感や内的不隠を有していることが特徴です。機序として…
向精神薬による体重増加 向精神薬の副作用で、最も患者さんが苦痛に感じる副作用の一つに体重増加があります。 もちろん食欲がなくて、痩せが目立つ場合には、食欲が改善することは望ましいわけですが、食欲不振がそれほどないのに、食欲が出すぎて過食にな…
SSRIによる賦活症候群(activation syndrome) SSRIで治療を始めた患者さんの多くは、使用開始後の最初の2~3週間に精神運動性の活動亢進を経験します。 SSRIの賦活作用は、特に24歳以下の若年者で多く出現し、自殺のリスクのある患者さんにおいて、自殺衝動…
SSRIによる性機能障害 多くの向精神薬の使用に伴い、さまざまな程度の性機能障害が起こり得ます。 抗うつ薬であるSSRI(選択的セロトニン再取込み阻害薬)服用中の患者さんのなんと50~80%が、性欲減少、射精・勃起障害、女性におけるオルガズムの抑制などの…
アルコール依存症 依存症は、本人の意志が弱いからではなく、脳内の報酬系回路が異常を来した病気です。 これまで、ただ本人を責めて、飲酒をやめさせるしかない、それも本人がやめる気がない限り治療はできないという考え方から、最近の治療環境は、大きく…
環境・遺伝要因 両親の高年齢、低出生体重、またはバルプロ酸への胎児曝露などが関与しているかもしれない。 複数の遺伝子が関与した多因子遺伝仮説 病態仮説 前頭葉機能障害仮説 多様な社会場面での実行機能不全があるという仮説 心の理論障害仮説 心の理論…
ADHDの病態仮説 遺伝要因と環境要因 ドパミントランスポーター遺伝子とドパミン受容体D4遺伝子の多型との関連性が示唆されています。 妊娠中の母親の喫煙(一部は一般的な遺伝的危険性を反映)、乳幼児期の鉛の曝露との関連が指摘されています。 低ドパミン…
神経学的副作用 パーキンソニズム・最もよくみられる可逆性の運動障害。加齢とともに出現率は増加。抗コリン性抗パ薬にて治療。 急性ジストニア・若年者に多く,数時間から数日の間に自然軽快することが多い。抗コリン性抗パ薬やジアゼパムにより治療。 アカ…
第1世代抗精神病薬(FGA)の主なもの 作用機序 ドーパミンD2受容体阻害作用 力価 低力価薬物は、鎮静、起立性低血圧、抗コリン作用を出現させやすい。 高力価薬物は、錐体外路症状を出現させやすい。 第2世代抗精神病薬(SGA) 現在第1世代抗精神病薬に変わ…
抗うつ薬は、うつ病に対してどこまで効果があるのでしょうか? Newsweekの2010年3月10日号で、「抗うつ剤神話の憂うつなジレンマ」という記事が載せられました。 (Kirsh I. et al. PLoS Med., 2008). 英国ハル大学のアーヴィング・キルシュ教授らの研究チ…
向精神薬多剤投与に対する処方の適正化 向精神薬については、いままで何種類もの同様な薬剤の多剤投与が問題とされてきました。本来、処方権は医師にあるわけですが、なかなか改善がされないということで、厚労省は保険請求の算定料を引き下げるという形で、…
せん妄薬物治療の原則 原因の除去が重要で薬物療法は対症療法 できる限り単剤治療を目標 改善が得られたら速やかに中止を検討 薬物の力価や用量にもよるが、半減期が短い薬剤の方が、翌日の過鎮静などが少ない可能性 過活動型せん妄で、夜間の睡眠確保と興奮…
認知症の薬物療法としては、現在、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬が3剤、NMDA受容体阻害薬が1剤の計4剤があります。いずれも認知症の中核症状の進行抑制作用がありますが、BPSDに対してはAche阻害剤が賦活系、NMDA受容体阻害薬が鎮静系です。副作…
BAP(英国精神薬理学会)(2009) 軽症 クエチアピン ラモトリギン 中等症 クエチアピン ラモトリギン SSRI TCA(三環系抗うつ薬)以外の抗うつ薬 重症 ECT(電気けいれん療法) WFSBP(生物学的精神医学世界連合)(2010) 第1選択 クエチアピン 第2選択 単…
双極性障害のうつ病相に対する抗うつ薬の使用 STEP-BD (Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder) 米国で実施された双極性障害患者の治療効果、経過、転帰についての大規模多施設臨床試験(Sachs GS, et al. N Engl J Med 356, 200…