高齢者ではいろいろなことが要因になってうつ病になります。
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うつ病の発症要因としては、遺伝・生育的な要因があります。
性格、思考・行動パターン、ストレス脆弱性などが背景にあり、そこに心理社会的要因や身体的要因が絡まってうつ病を発症します。 -
高齢者は若年者よりも心理社会的要因や身体的要因が複合的に影響し、より多要因性になります。
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高齢者の心理社会的要因としては、社会的役割の喪失、配偶者や身近な人との死別などがあります。
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身体的要因としては、加齢による身体機能の低下、脳萎縮や無症候性脳梗塞、さまざまな身体疾患の合併などがありますし、その身体疾患を治療するための服用薬剤によってうつ病になることもあります。
- うつ病になると、若年者と同様に脳に変化が起こりますので、やはりきちんとした治療が必要になります。
- 高齢者では、その人がなぜうつになったのか、多要因性を常にチェックしたきめ細やかな対応が必要になります。
高齢者うつ病を見逃さずに適切な治療が必要
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うつ病と診断された場合でも、高齢者のうつ病が若年者のうつ病と同様に治療可能であるにもかかわらず、高齢者のうつ病者は適切な治療を受けていないことが多く、うつ病は患者自身や高齢者をケアしている家族や施設の方々に多くの負担を課しています。
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高齢者うつ病は、例えば死別のようなストレス状況や老化に関連した身体的または精神的な衰退に対する自然な反応として捉えられる傾向にありました。
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その結果、積極的な治療がなされていなかった面があります。しかし現在では、うつ病が老化における正常な状態としてではなく、治療対象とすべき状態であると認知されています。
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治療を成功させるためには、適切な薬物療法と薬物療法以外の治療がそれぞれの高齢者において熟慮され、高齢者に認められる多くの医学的問題に対応していかなければなりません。