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北総メンタルクリニック 院長の情報発信

解離症群/解離性障害群

従来のヒステリーで、無意識的な動機(心因)によって意識障害(解離型)、運動・知覚障害(転換型)に分類されていました。

ICD10では、「解離性(転換性)障害」として、1つのカテゴリーにまとめられていますが、DSM-IVでは、「転換性障害」は「身体表現性障害」のカテゴリーのなかに含まれ、DSM-5では、「変換性/転換性(機能性神経症状症)」として「身体症状症および関連症群」のカテゴリーのなかに含まれています。

 

DSM-5)

  • 解離症群の特徴は、意識、記憶、同一性、情動、知覚、身体表象、運動制御、行動の正常な統合における破綻、不連続であり、心理機能のあらゆる領域において破綻が生じる可能性があります。ここには、解離性同一症、解離性健忘、離人感・現実感消失症、他の特定される解離症、特定不能の解離症が含まれています
  • 解離症群はしばしば心的外傷の直後に生じ、心的外傷とつながりのある事柄から影響を受けます。解離症群は心的外傷およびストレス因関連障害群と密接な関係があり、急性ストレス障害心的外傷後ストレス障害の診断基準には、健忘、フラッシユバック、麻痺、離人感、現実感消失などの解離症状が含まれています。

  

解離性同一症/解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder: DID)(以前は多重人格障害)の診断(DSM-5)抜粋

 

A. 2つ以上のはっきりと区別されるパーソナリティ状態による同一性の破綻で、文化によっては憑依体験と記述。同一性の破綻とは、自己感覚や意志作用感の明らかな不連続を意味し、感情、行動、意識、記憶、知覚、認知、感覚運動機能の変容を伴う。

B.日々の出来事、重要な個人的情報、心的外傷的な出来事の想起についての空白の繰り返しであり。通常の物忘れでは説明がつかない。 

  • 簡単に記すと、明確に区別される複数の人格または同一性が同一人物内に存在する。
  • DSM-IVの編纂委員長アレン・フランセスは、暗示にかかりやすい人から複数の人格を引き出す医原性の障害と考えている。

 

解離性健忘(Dissociative Amnesia)の診断(DSM-5)抜粋

 

A.重要な自伝的情報で、通常、心的外傷的またはストレスの強い性質をもつものの想起が不可能で、通常の物忘れでは説明ができない。

注:解離性健忘のほとんどが、特定の1つまたは複数の出来事についての限局的または選択的健忘、同一性および生活史についての全般性健忘である。

  • 簡単に記すと、重要な個人的記憶の喪失。通常ストレスの多い、あるいは外傷的な記憶が失われる。

 

離人感・現実感消失症/離人感・現実感消失障害(Depersonalization/Derealization Disorder)の診断(DSM-5)抜粋

 

A.離人感、現実感消失、またはその両方の持続的または反復的な体験が存在する

  • 離人感:自らの考え、感情、感覚、身体、行為について非現実、離脱、または外部の傍観者であると感じる体験
  • 現実感消失:周囲に対して非現実または離脱の体験

B.離人感または現実感消失の体験の間、現実検討は正常に保たれている。

 

 

治療

 

薬物療法

  • 前述のPTSDASDの治療に準ずる 

精神療法