神経学的副作用
- パーキンソニズム
・最もよくみられる可逆性の運動障害。加齢とともに出現率は増加。抗コリン性抗パ薬にて治療。 - 急性ジストニア
・若年者に多く,数時間から数日の間に自然軽快することが多い。抗コリン性抗パ薬やジアゼパムにより治療。 - アカシジア(静座不能症)
・抗コリン性抗パ薬,ジアゼパム,βブロッカーにより治療。 - 遅発性ジスキネジア
・反復する舌打ち,咀嚼運動,舌の運動,体幹および四肢の舞踏様運動。男性より女性に多い。
・長期の抗精神病薬の治療中あるいは中止後に生じる。長期のドパミン遮断による2次的な神経除去後過感受性(denervation hypersensitivity)による。
・別の抗精神病薬に置き換え,減量していく方法が勧められている。 - けいれん
・すべての抗精神病薬はけいれん閾値を下げる。
その他
- 肝機能障害,黄疸
・フェノチアジンで出現しやすい。稀であるが,主にクロールプロマジンで閉塞性黄疸を呈することがある。 - 内分泌症状
・体重増加,耐糖能の異常,妊娠反応の偽陽性,インポテンス,性欲減少,無月経,乳汁分泌,女性化乳房(血中プロラクチンの上昇による) - 過鎮静
・ヒスタミン1型受容体遮断による。低力価薬物で出現しやすい。 - 抗コリン作用
・口渇,便秘,かすみ目,排尿遅延,緑内障,せん妄 - 起立性低血圧
・アドレナリンα1受容体遮断による。フェノチアジンを高用量で使用したときに起こりやすい。
悪性症候群(Popeらによる)
確定診断には下記の3項目すべてが必要である。
- 高熱
他の原因がないにも関わらず,口内温が最低37.5℃ - 重篤な錐体外路症状(以下の2つ以上)
鉛管性筋強直著しい歯車様抵抗増大,流涎,眼球上転発作,頸後屈,後弓反張,開口障害,構音障害,舞踏病様運動,突進歩行,伸展位-屈曲位姿勢. - 自律神経障害(以下の2つ以上)
血圧上昇(通常より拡張期血圧が20mmHg以上上昇),頻脈(通常より脈拍が30回/分以上増加),著明な発汗,尿失禁.
疑診(probable diagnosis)(上記2項目と次の1項目)
- せん妄,無言症,昏迷,昏睡といった意識混濁.
白血球増加(15,000以上),血清CPK(1,000IU/ml以上)
治療
患者さんが困っている副作用
体重増加
錐体外路系副作用(振戦、筋固縮、動作緩慢など)
プロラクチン上昇(乳汁分泌、無月経などが出現)
QTc間隔延長(心循環器系異常)
過鎮静