ADHDの主症状である不注意、多動性、衝動性はいずれもADHD固有の症状とは言えません。多くの精神疾患で同様な症状が出現します。一方で、さまざまな精神疾患の背景障害として、あるいは全く独立して併存しているADHDを見逃さないようにすることが必要です。とくに、成人の場合には、小児期より症状が持続し慢性であることを念頭に置いた鑑別が重要です。
成人ADHDとの併存疾患
- 不安障害 47.1%(社交不安 29.3%、単一恐怖 22.7%、PTSD 11.9%など)
- 気分障害 38.3%(大うつ病 18.6%,双極性障害 19.4など)
- 衝動制御障害 19.6%
- 物質使用障害 15.2%
(Kesler RC,et al: Am J Psychiatry163; 716-723, 2006.)
鑑別診断
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虐待とネグレクト
- 不安症群/不安障害群
- 分離不安症は、愛着を持っている人との分離や分離を想像することで、強い不安が起こり、注意の集中の持続が困難になったり、落ち着きなく身体を動かして多動に見えることもあります、分離不安では分離不安要因が存在しなければ症状が軽減しますので鑑別点になりますが、ADHDが併存することもあります。
- 分離不安症は、愛着を持っている人との分離や分離を想像することで、強い不安が起こり、注意の集中の持続が困難になったり、落ち着きなく身体を動かして多動に見えることもあります、分離不安では分離不安要因が存在しなければ症状が軽減しますので鑑別点になりますが、ADHDが併存することもあります。
- 解離症群/解離性障害群
- PTSD
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多弁多動で注意散漫になること、また不機嫌、激越、爆発性の怒りを伴う場合もあり、ADHDの症状との類似性が高く鑑別が難しい疾患です。発症年齢がやや高いことや、周期的な躁とうつの繰り返しが鑑別点としてあげられますが、併存することもあり、鑑別は慎重に行う必要があります。
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- 抑うつ症候群
- 境界性パーソナリティ障害(BPD)
(樋口輝彦,齊藤万比古:成人期ADHD診療ガイドブック.じほう,2013.)