自閉症概念の変遷
Kannerの情緒的接触の自閉性障害(1943年)
Leo Kanner(1955)Wikipediaより
- 他者との情緒的接触の重篤な欠如
- 同一性保持への強迫的願望
- 言語発達の遅れ
- 1950年代のアメリカで精神分析の影響を受け自閉症に関する心因論が成立
- 冷淡な両親の養育態度による情緒障害といった心因性疾患と捉えられた
- 心因論派対認知障害派の論争は1970年代まで続く
- 実証科学的研究成果の積み重ねにより脳機能障害が強く推測される発達障害として位置付けられた。
- Kanner型は、通常、知能や言葉の発達の遅れを伴う発達障害
Aspergerの小児期の自閉的精神病質(1944年)
Hans Asperger(1971)The New York Timesより
- 社会的に奇妙でナイーブ
- 情緒的に孤立
- 自己中心的で批判に敏感だが他者の気持ちには気付かない
- 優れた文法力・語彙力をもつが回りくどい
- 相互的な会話が成立しにくい
- 特定領域に限定された興味
- 知的には境界~優秀な範囲に入るが、伝統的学校教育で学ぶことが困難
- Asperger型は、発達水準の高い、高機能自閉症で言語の発達は遅れない
- 1981年、WingはAsperger症候群として再び取り上げ、自閉症スペクトラム障害の概念を提唱し、Kanner型、Asperger型とも以下の3領域において共通して発達の遅れや欠如が認められると指摘。
- 人との相互交渉など社会性の障害
- 言語コミュニケーションの障害
- 想像力の障害
DSM-5の自閉スペクトラム症は、DSM-Ⅳ-TRで広汎性発達障害(pervasive developmental disorders: PDD)として下位分類されていた自閉性障害(自閉症)、アスペルガー障害、小児期崩壊性障害、レット障害、特定不能の広汎性発達性障害を包括する概念で、それぞれがはっきりと区別される障害と言うよりも、以下の2つの中核的な領域の欠陥によって特徴づけられ、軽度から重度の能力低下という1つの連続体を示しています。
- 対人コミュニケーションと対人的相互反応の欠陥
- 行動、関心、活動における限定的で反復的な様式