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北総メンタルクリニック 院長の情報発信

催眠感受性尺度の登場

催眠感受性尺度の登場

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André Muller Weitzenhoffer (1921-2004)

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Ernest Hilgard(1904-2001)

1959年ワイツェンホッファーとヒルガードによるスタンフォード催眠感受性尺度が作成され、その他に同様の尺度がいくつか作成され、これは必須の技法として推奨されるに至った。

しかし、ここでの催眠誘導法は標準化のためにやむを得ないとはいえ、かつての権威的暗示を彷彿させるもので、しばしばチャレンジの課題を含んでいた。

催眠誘導の標準化は実験的研究としては進歩ではあるが、催眠トランスという複雑な心身現象の十分な理解には困難を伴い、催眠感受性は催眠者との人間関係や動機づけによって変化し、また個々の項目への反応がトランスの深さと相関関係があるかも疑問である。

催眠標準化研究の先達であったワイツェンホッファーも、後に続く催眠実験研究に対して、学問的レベルの低い、見せかけの、不誠実な研究であったと厳しい評価をしている。また、ミルトン・H・エリクソンも早くから催眠の標準化尺度には反対で、「どんなに思慮深く制作したものでも実際には使用不能で無意味なものである」と断じている。

 (高石昇、大谷彰:現代催眠原論、金剛出版、2015.参照)