催眠情動調整法
- 情動調整は単に情動だけでなく、思考、感情、行動、生理の安定化などを含み、個人に内在するさまざまな要素のフィードバックによってその実現を図る。
- 個人に潜む治癒能力を積極的に活発化させ心身の安定と適応を推進させ、症状の緩和、不適切な行動の矯正を試みる情動調整は、催眠や瞑想などの補完代替療法、ポジティブ心理学などの概念と通じるところも多い。
- 情動調整の基盤は、乳児期からの愛着関係によって形成され大脳生理が大きく関わっている。愛着関係の形成不全はストレス反応や対人トラブルなどの適応問題や境界性パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害、トラウマ反応、摂食障害、解離性障害など多くの心理・行動障害とも繋がる。
- 催眠が情動調整に適しているのは以下の3つの要因による。
- 自律訓練法に代表される恒常性(ホメオスタシス)のもたらす回復作用
- 催眠による蒼古的密着関係(心的退行によって治療者とクライエントの間に生じる現象)の惹起→不安定な愛着関係の修復に応用
- 無意識の活用→意識的コントロールによらず、受容によってマイナス感情を抑制緩和させる働き
- シャボン玉テクニック(イメージによる情動調整)
- シャボン玉のなかは安全で心地よい
- それは透明で他人には見えず、外界の脅威から常に保護する役割
- シャボン玉の動きを自由自在にコントロールできる
- 握りこぶし弛緩テクニック(身体操作のよる情動調整)
- 意識的に緊張させた握りこぶしをリラックスさせ、それによって生じる感覚を利用する。
- 漸進的弛緩法、臨床動作法、太極拳やヨーガなども同様な情動調整法
- 抜毛癖やチックなどに適用される習慣逆転法などはその一例