臨床催眠の適応疾患:疼痛管理
- 催眠は疼痛を緩和させる手段として古くから応用され、英国の外科医Esdaile(1846)が大英帝国下のインドにおいて催眠のみの麻酔を用いて多くの外科手術を手がけ、大成功を収めたことは古くから知られている。当時の手術後致死率は約40%と極めて高かったが、彼の執刀では、わずか5%であったという(Gurgevich, 2003)。
- Erickson(1996)が末期がん疼痛のクライエントに対して行った「散りばめ法」は有名。
- 慢性疼痛、外科・整形外科領域、とくに手術や外科処置に伴う疼痛コントロールに有用。
- バーチャル・リアリティ催眠が外科治療と末梢神経障害に用いられている。
- 産婦人科分野では、分娩のみならず妊娠中絶に対しても有用との報告。
- 歯科口腔領域では、抜歯、口腔顔面痛、顎関節症などに適応。
- 火傷やその処置に対しては催眠は著しい効果があることが実証されている。
- 近年では、線維筋痛症に対する催眠効果も確認されている。
Erickson(1980)の疼痛緩和に有効な10項目の催眠テクニック
- 直接催眠暗示による疼痛の完全緩和
- 許容的な間接催眠暗示による疼痛緩和
- 健忘
- 催眠鎮痛
- 催眠麻酔
- 催眠による感覚交換もしくは変換
- 催眠による疼痛置換
- 催眠解離
- 疼痛体験の解釈変化
- 催眠暗示による疼痛感覚減少
催眠による疼痛緩和のメカニズム