著者(内村祐之)の総括と今後の展望、附録 Uchimura Yushi(1897-1980) 1. 全篇の総括:精神医学の基本問題と今後の展望 著者は、クレペリンとフロイトを中心とする近代精神医学の歴史を振り返り、精神病と神経症の「構造論」に関する根本理念がいかに多様…
クレッチュマーの「多次元診断」とクライストの神経学的構造論 1. クレッチュマーの「多次元診断」 Ernst Kretschmer(1888-1964) ビルンバウムとほぼ同時期に、若きクレッチュマーは「一つの病気を単一の診断名だけで割り切ることは不可能であり、病像の真…
ビルンバウムの「構造分析」 Karl Birnbaum(1878-1950) 1. 精神病の構造分析への動き 第一次世界大戦の神経症研究などを契機に、「単一の病型(疾患単位)にすべての症状を押し込めるのは無理がある」という認識が広まり、病像の「構造」をより詳しく分析…
クレペリンの精神病像構造論 Emil Kraepelin(1856-1926) 1. 精神医学界の二極化と論争(第一次世界大戦前後) 19世紀後半から20世紀初頭にかけて、精神医学界は「精神病」と「神経症」という2つの異なる対象・アプローチによって発展したが、やがて学界は…
ウェルニッケとクレペリンの精神医学とその反響 1. ウェルニッケの脳局在学と精神反射弓 Karl Wernicke (1848-1904) カール・ウェルニッケは、グリージンガーの「精神病は脳病である」という理念を受け継ぎ、脳の機能(局在)から精神病を説明しようとする…
二人の隠れた先駆者~カールバウムとジャクソン 1. カールバウムの臨床的・経験主義的アプローチ Karl Ludwig Kahlbaum(1828-1899) ルードヴィヒ・カールバウムは、当時の主流であった「脳病理学」に偏ることなく、徹底した臨床観察(経験主義)に基づき、…
精神医学の二つの系譜~グリージンガーとシャルコー 1. 近代精神医学の黎明 19世紀以前、精神病は「病気」とは見なされず、患者は鎖で繋がれるなどの非人道的な扱いを受けていた。19世紀初頭(ピネルらの改革)にようやく「治療すべき病気」と認識され、19世…