therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒルガードの新解離理論

ヒルガードの新解離理論 アーネスト・ヒルガード(Ernest Hilgard, 1904 – 2001) 催眠による非意図的反応として、暗示によって腕が「勝手に」浮揚したり、眼瞼が「自然と」閉じたりするが、ヒルガードは心的解離によって生じると主張し、新解離理論を提唱し…

ハラスメントの種類

2017 年1月1日、男女雇用機会均等法 と育児・介護休業法の法改正により、新たにマタハラの防止措置が事業主の職務となり、セクハラやパワハ ラと並んでマタハラについても適切な対応を職場で図ることが求められています。 ハラスメントの種類 アカデミック・…

自己愛性神経症

自己愛性神経症 フロイトは「リビドー理論と自己愛」で、彼の分析理論を早発性痴呆やパラノイアやメランコリーにまで及ばし、それらの発生を、リビドーの対象が自己に固着して自己愛となった結果として説明しようと試みる。従ってこれらの疾患を、彼は自己愛…

不安の問題

不安の問題 次の章「不安」は、フロイトの神経症論、ことに恐怖症にとって重要な問題である。 「不安の問題が、あらゆる最も重要な問題の集中する交差点であることは確かです。そしてこの問題は、それを解決すれば、私どもの心的生活全体の上に豊かな光が降…

自我欲動の役割

自我欲動の役割 この辺から話は性欲動に対する自我欲動の重要さの説明に入る。 「・・・・ところでリビドーの欲求に対して抗議する勢力、すなわち病因となる葛藤における相手方の一方は何でしょうか。ごく一般的に言えば、それは性的でない欲動の諸力です。私ど…

神経症構造論の中核

神経症構造論の中核 フロイトの神経症構造論は、これから後の数章の中にその核心があるように思われる。ことに最初の「発達と退行の観点、病因論」がそうである。 「リビドーの発達にあたっては、一般病理学の学説と全く同じように、二つの危険を伴うことを…

エリクソン催眠の方略的アプローチ

ミルトン・H・エリクソンの方略的アプローチ ミルトン・エリクソン(Milton H. Erickson, 1901- 1980) エリクソンは1930年頃から斬新なパラダイムと技法を催眠に取り入れ、現代催眠を心理療法のメインストリームに合流させた。 彼は、催眠者にも被催眠者に…

固着、無意識、抵抗、抑圧

固着、無意識、抵抗、抑圧 私は、特に注意を要すると私が考えるもの、フロイトの真意がはっきりわかると思われるもの、フロイドの思想のうち、従来見落とされがちであったと思われるものなどを以下に抜粋することとした。 「強迫神経症のもつこれらの症状、…

フロイトの精神医学批判

フロイトの精神医学批判 「・・・・ある人々は私の自己訂正をまったく知らず、すでに私にとって以前とは違う意味をもつようになっている主張を盾にとって、今日でも私を批判しております。・・・・自分の見解を三度三度変更した者は、おおよそ信用することができない…

フロイトの神経症の分類と命名

フロイトの神経症の分類と命名 フロイトは神経症の第一群として感情転移神経症を立て、これは、不安ヒステリーと転換ヒステリーと強迫神経症の3型を含む概念だとする。そして彼は「ここで私が抑圧や症状形成や症状解釈に関して言っていることは、すべてこの…

精神分析に対する批判

精神分析に対する批判 フロイトの不屈な闘魂と確信と、それに従来の通念から全く離れた大胆な理論とは、すべての専門家を、彼に賛成か反対か、味方か敵かに、はっきりと区別してしまった。また永らく彼と行を共にしたにもかかわらず、意見の食いちがいが元で…

フロイトと内因性精神病

フロイトと内因性精神病 フロイトは、精神医学の中心課題でありながら、今なお本態不明のままである内因性精神病の症状にまで、そのリビドー学説による解明を試みた。 彼は、メランコリー患者の苦悩または自殺念慮とは、失われた、または背かれた性対象に対…

催眠感受性尺度の登場

催眠感受性尺度の登場 André Muller Weitzenhoffer (1921-2004) Ernest Hilgard(1904-2001) 1959年ワイツェンホッファーとヒルガードによるスタンフォード催眠感受性尺度が作成され、その他に同様の尺度がいくつか作成され、これは必須の技法として推奨さ…

現代催眠の夜明け

実証的催眠研究の始まり クラーク・ハル(Clark Leonard Hull, 1884 – 1952) 実験心理学の権威であったハルが、1933年催眠現象の統制研究をまとめた「催眠と暗示」という実験科学的研究の著書を出版した。当初は批判もあったが、米国心理学会会長を務めた彼…

フロイトの神経症論

フロイトの神経症論 フロイト(左)とジャネ(右) ジグムント・フロイトは、ジャネと共に神経症学を飛躍的に発展させたのみならず、深層心理学全般に未曽有の新生面を開拓して、その師たるシャルコーをはるかにしのぐ盛名を得た人である。 フロイトは最初、…

ジャネとフロイトの相違

ジャネとフロイトの相違 ジャネの理論に対しては精神分析の側からの反論が起こった。精神分析派はジャネのいわゆる心理的緊張性の思想を認めることができず、またジャネが心理的緊張性の減弱と呼んだ障害を、精神分析の側は自我の減弱によるものと主張したか…

ジャネの心理的緊張学説と段階的構成論

ジャネの心理的緊張と精神衰弱症 ジャネの業績の核心をなすものは心理的緊張(la tension psychologique)の学説である。 「ジャネの理論を理解する上に常に必要な概念は、精神の総合の能力という考えであろう・・・・それはすべての心的機能を統一し、より高次…

ジャネのヒステリー論

ジャネのヒステリー論 彼もシャルコーの門下生であって、その師の大きな影響の下に暗示や催眠術の研究を行なった。彼はヒステリーの心理的緊張の、心理学的、病理学的理論を打ち立て、それによって多くの精神状態を説明しようと試みたし、また精神衰弱症の概…

ババンスキーの説得可治症

ババンスキーの説得可治症 ジョゼフ・ジュール・フランソワ・フェリックス・ババンスキー(Joseph Jules François Félix Babinski, 1857 – 1932) ババンスキーは長くシャルコーの下にあったから、その業績には神経病学的のものが多く、この方面で彼は不朽の…

ジャネとフロイトの催眠

ジャネとフロイトの催眠 ピエール・ジャネ ピエール・ジャネの人と生涯 - therapilasisのブログ シャルコーやベルネームにも師事し、非常に活動的な催眠療法家になり、催眠を解離現象ととらえ、ヒステリーとの類似性を指摘した。催眠状態のみで食事のできる…