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北総メンタルクリニック 院長の情報発信

半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)

半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)気滞痰鬱(きたい たんうつ)を治療する漢方薬です。

気滞痰鬱(きたい たんうつ)とは一体どんな状態なのでしょうか?

 

最初に東洋医学に出会った時

気??それは何??と謎でした。

東洋医学では、気血(きけつ)などといって、血とセットにされることが多いです。

西洋医学には血液はありますが「気」とは何のことだろう?と思っていました。

 

気とは一体、どのようなものなのでしょうか?

まず、気の働きを簡単に説明しますと…

気は、血を動かすパワーです。

血は動きのない物体。自分では動けません。

東洋医学では「気」があってはじめて、血は血管の中を、良いペースで流れることができると考えられています。

「気は血の統率者である」などと表現されます。

出血して外に出てしまった、動かない血は「死血」と呼ばれます。

東洋医学では、血液とはあまり言わず、気血(きけつ)と言うことが多いのですが、

気血(きけつ)は体内で働く血、生きている血のことなのですね。

 

「気」には、色々な働きがありますが、その中の一つを、簡単に説明してみました。

気は血を動かすパワー。血の乗り物と表現されることもあります。

 

では、気滞(きたい)とは?

文字通り「気が滞る」ということです。

 

気が滞ると、どんなことが起こるのでしょう?

パワーが滞る…身体の色々な不調が起こることが、想像できるかと思います。

今日は半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)という漢方薬の働きから、気滞(きたい)について考えてみましょう。

 

半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)がよく効きました!という患者さんの症状は…

・喉の中を何かが塞いでいる感じ

・咳払いをしてもスッキリしない

・飲み込んでもスッキリしない

・胸が塞がれたように苦しかったり、痛みがあったりする

・脇の方も何だか痛い

これらは、気滞(きたい)が原因の代表的な症状です。

 

では気滞痰鬱(きたい たんうつ)の痰鬱(たんうつ)とは?

人間の身体は、成人男性で60%、新生児では80%が水分と言われています。

体内の水分がうまく流れない、代謝できないと、固まってしまい、痰になります。

痰が身体の色々なところに詰まると、様々な不調の原因になります。

 

気滞痰鬱(きたい たんうつ)とは

「気」が痰で阻まれ、身体の中の流れが悪くなっている状態です。

例えば、肺に気が流れないで塞がれてしまうと、胸や脇に痛みが出ることがあります。

こういう塞がれるような痛みに半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)はとてもよく効きます。

 

痛みのポイントは2つあります。

①塞がれたような痛みで、苦しい感じがする

(チクチク、針で刺されるような痛みは、気ではなく血に関する症状なので区別する)

 

②痛みの位置が動いたり、何箇所も痛かったりする

(いつも同じ場所が痛い場合は、気ではなく血に関する症状なので区別する)

 

血に関する症状でも、痛みが出ます。

チクチクと針で刺されるような痛みで、身体の中で動かず、限定された場所が痛みます。

 

一方、気に関する症状、

気滞の痛みは、チクチクではなく、塞がれるような痛みで、痛みの場所が移動したりするのが特徴です。

 

血に関する症状と、気の症状は「痛い!」といっても使う薬が全然違います。

どちらが原因になっているのかが分かれば、薬がぴったりと合い、短期間で症状が改善しますが、違うタイプの薬を飲んでいると、あまり効かないことがあるので注意です。

 

血に関する症状の場合、舌がちょっと暗い感じの赤や紫っぽくなったりするので、舌の色も確認します。(軽症の場合は舌にまだ変化がないこともあります)

気滞は、舌を見てみると白っぽい(赤くはない)のも特徴です。

 

半夏厚朴湯は、喉や胸、脇の詰まった感じや痛みを取るのにとても優れています。

成分とその主な働きは…

半夏(はんげ)、厚朴(こうぼく)、茯苓(ぶくりょう):痰に対処

紫蘇・蘇葉(しそ・そよう)、生姜(しょうきょう):滞った気を流すのと共に解毒作用も。

(おお!シソやショウガも入っているんですね!)

 

気滞痰鬱(きたい たんうつ)

何かが詰まっているような感じや、それに伴う痛みが特徴です。

こんな症状がある時には、半夏厚朴湯(はんげ こうぼくとう)などの漢方がぴったりです。

滞ってしまった気を流すことで、身体の調子を取り戻すことができるかもしれません。