therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

テレンバッハのメランコリー論

メランコリー論 エントンとエンドン因性(内因性) 精神医学は、種々の精神障害をその原因領野によって、通常3つのカテゴリーに分類される。 身体因性:これは身体、とくに脳における疾患過程の症状として現われる。 心因性:心的な動機からの発展あるいは…

フーベルトゥス・テレンバッハ

フーベルトゥス・テレンバッハ(Hubertus Tellenbach、1914 - 1994) (Pinterestより) フーベルトゥス・テレンバッハは、「メランコリー親和型」の学説が、下田光造の躁うつ病病前性格論と多くの点で一致しているためにわが国にいち早く紹介され、ドイツ精…

エリクソンの『幼年期と社会』

エリクソンの『幼年期と社会』 『幼年期と社会』は新しいアイディアに満ち、独創的なものはいくつかある。 第1は個体発達分化の図式で、人間の全生涯を展望に入れて人格発達の心理社会的側面を記述した。 第2は心理社会的人格発達の8つの段階の中で、とく…

エリクソンにとってのフロイトと米国での活動

エリクソンにとってのフロイトと米国での活動 カールスルーエから呼ばれたエリクソンは、「教育」という世界に入っていく。この小さな塾で教えながら、エリクソンは周囲にすすめられて、児童分析家としての訓練を受ける。彼の個人分析家は、児童分析の分野を…

エリクソンの幼少年期~青年期

エリク・H・エリクソン(Erik Homburger Erikson, 1902 - 1994) (Prabookより) エリクソンの幼少年期~青年期 エリクソンは1902年、ドイツのフランクフルトに生まれている。1900年は、フロイトが『夢解釈』を出版した年である。エリクソンの師であり、「…

フロムの思想

フロムの思想 フロムの使命 フロムの思想は、マルクスとフロイトの影響を強く受けている。両者に対するフロムの評価は大いに異なり、マルクスの理論は、全面的に肯定されのに対し、フロイトの理論は、部分的に肯定されるだけである。なぜなら、フロイトによ…

エーリッヒ・フロムの略歴

エーリッヒ・フロム(Erich Seligmann Fromm、1900 - 1980年) (Quotable Quoteより) 略歴 フロムは、1900年フランクフルトにユダヤ人の子として生まれた。フランクフルト、ミュンヘン、ハイデルベルグの各大学で、社会学と心理学を学んだ。1922年ハイデル…

アンリ・エーの器質力動論

器質力動論の概要 エーは、精神医学の歴史における2つの方向、すなわち精神症状(一般に精神現象)を身体的・生物学的基盤の上に直接還元する器質論的機械論と、逆に精神症状の発生条件を顧慮せず、その意味内容を心理的に明らかにしようとする心因論(ある…

アンリ・エーの略歴

アンリ・エー(Henri Ey, 1900-1977) (Psydoc-Franceより) 略歴 アンリ・エーは、1970年、ボンヌヴァル精神病院医長を退き、それ以後も著作活動の面で意欲的に仕事を続けていたが、1977年11月に没した。彼の理論の評価は今後に待たれる面もあろうが、おそ…

レオポルド・ソンディの経歴

レオポルド・ソンディ(Léopold Szondi,1893 – 1986) (sudboanalizより) 経歴 レオポルド・ソンディは、1893年、当時のハンガリー領(現チェコスロハキヤ領)のニイトラという町で生まれる。父はユダヤ系ハンガリー人で、靴加工職人であった。彼は12人の…

ツットの了解人間学

了解人間学の緒言 「了解人間学」という名称は、ツットの弟子でもあり、優れた共同研究者でもあるクーレンカンプが、他のさまざまな人間学的研究方向、とくにビンスワンガーの現存在分析との混同を避けるため、ツットと自己の研究方向に対して自ら与えたもの…

ユルク・ツットの経歴

ユルク・ツット(Jürg Zutt, 1893-1980) (SBPFEより) 経歴 ユルク・ツットは、1893年ドイツ、パーデン地方のカルルスルーエに、同地の高裁の弁護士を父として生まれたが、早くに両親を喪った。1911年フライブルク大学の医学部に入ったが、1914年第一次世…

サリヴァンのパーソナリティ論

サリヴァンのパーソナリティ理論 サリヴァンは、人間の発達を衝動の形成過程としてではなく、対人関係の場における経験が決定する過程としてとらえた。彼の「精神医学における対人関係論」には、彼の発達論が次の七段階に分けて述べられている。 ①幼児期、②…

サリヴァンの経歴

サリヴァンの経歴 サリヴァンは1892年、ニューヨーク州中央部のノーヴィッチに生まれている。 1911年シカゴ大学医学部を卒業後、シカゴのある分析医から、教育分析を受けたといわれている。 1922年、首都ワシントンにきて、ホワイト、マイヤーらの影響を受け…

サリヴァンの精神医学への貢献

ハリー・S・サリヴァン(Harry Stack Sullivan, 1892 - 1949) (Babelioより) 精神医学への貢献 サリヴァンは、米国の精神医学史上最大の偉人であって、これに比肩しうるのは、マイヤーのみである。 彼の精神医学に対する貢献は、文化人類学および社会学等…

クレッチマーの体格と性格

クレッチマーの体格と性格 クレッチマーは内因性精神病者の体格研究を試みた。躁うつ病者は平均以上に多くの人が肥満型体格を、一方精神分裂病ではしばしば無力性の細長型体格または発育不全型体格を見出した。 1361例の躁うつ病者 肥満型64.6%、細長型19.2…

クレッチマーの敏感関係妄想

クレッチマーの敏感関係妄想 『敏感関係妄想』の精神医学における位置づけについては、日本語翻訳版のために書かれた原著者の序に適切に述べられている。 「・・・明瞭に区分された「疾患単位」をもととするクレペリンの思考図式に反対して、この書は、「多…

クレッチマーの形成と思考

エルンスト・クレッチマー(Ernst Kretschmer, 1888- 1964) (Wikipediaより) クレッチマーの形成と思考 クレッチマーは、1888年ドイツ、ハイルプロンのヴェステンロットで、牧師の子として生まれた。1906年からチュービングン大学およびミュンヘン大学で…

ホーナイの理論と3つのタイプ

ホーナイの理論 「真の自己」の存在 人間は、機会を与えられれば自分に内在するさまざまな可能性を発展させ、人は自分の価値感とか生きる目的を発見する。 あらゆる人間に共通にあり、独自なもので、成長の深い源泉である内的な中心になる力が「真の自己」で…

カレン・ホーナイの生涯

カレン・ホーナイ(Karen Horney, 1885 - 1952) (Wikipediaより) 生涯 ホーナイは1885年ドイツのハンブルグに生まれた。父はノルウェー出身で、後にドイツ国籍を取得し、ハンザ汽船の船長であった。父が宗教的で厳格な人であったのに対して、彼女の母は、…

ヤスパースの了解心理学

ヤスパースの了解心理学 精神病理学において「了解」なる概念は、「説明」が自然科学的客観的因果連関の認識を意味するのに対し、一般的に主観的な意識内の事象を知ることに関して用いられる。 その方法には2つが区別され、ひとつはさきの現象学的方法で用…

ヤスパースの現象学

ヤスパースの現象学 ヤスパースの現象学が、ビンスワンガーら人間学派諸家のいう現象学とは内容的に大きなへだたりがある。 彼の現象学は意識内容に生起するものをありのままに記述し秩序づけるという立場であって、本質直観によって「事象そのものへ」至ろ…

ヤスパースの精神病理学総論

『精神病理学総論』の構成と意義 「4年しか精神科の経験のない30歳そこそこの無給助手が一挙に精神医学の知識の全体を包括的にとらえた」著書『精神病理学総論』は1913年(全338頁)上梓され、その後1920年に第2版(全416頁)、1923年に第3版(全458頁)…

ヤスパースの精神医学の経歴

カール・ヤスパース(Karl Theodor Jaspers, 1883 - 1969) (EcuRedより) 精神医学と取り組んでゆこうとするものにとって、ヤスパースの『精神病理学総論』は、まず目を通さなくてはならない書物の一つに数えられるが、精神医学の領域におけるこのように卓…

クラインの技法と理論

クラインの技法と理論 クラインの技法 クラインは、1920年頃から、児童に対する精神分析療法をはじめた。一方、S・フロイトの末娘アンナ・フロイト(Anna Freud、1895- 1982)も児童治療を行っていた。成人の神経症患者を対象にはじめられた精神分析の技法を…

メラニー・クラインの業績

メラニー・クラインの業績 メラニー・クライン(Melanie Klein、1882 - 1960) 1952年(wikipediaより) S・フロイトによって19世紀の末に創始された精神分析は、精神病理学にとって基本的な研究方法のひとつとなっている。クラインも、精神分析的な精神病理…

現存在分析の基礎づけ

ビンスワンガーの現存在分析の基礎づけ ビンスワンガーの思想的展開の背景には、ハイデガーの『存在と時間』が大きな影響を与えた。1930年前後からは「第二の転回」をへて、現存在分析論に立ちながら人間存在へと接近していく。こうした努力から生み落とされ…

ビンスワンガーの人間形成と思想形成

ビンスワンガーの人間形成と思想形成 ルートウィヒ・ビンスワンガー(Ludwig Binswanger、1881 - 1966年) (bibliofilosofiamilanoより) スイスの生んだ精神医学の巨匠ルートウィヒ・ビンスワンガーは、その主著『精神分裂病』(1957)をはじめ、論文集『…

ユングの神経症理論

ユングの神経症理論 ユングの神経症理論は神経症が一般に劣等なもの低格なものとされる傾向があるのに対して、そのポジティプな側面を指摘し、人格の完成へと向う目的性を見出す。 彼は「神経症は常に、正当な苦悩の代用物にすぎない」とも言い、神経症その…

ユングの略伝

ユング略伝 カール・グスタフ・ユングはスイスのツルガウ州ケスヴィルというボーデン湖畔の小村に、1875年に生まれ、チューリヒ湖畔キュスナハトの自宅で、1961年、86歳の生涯を閉じた。 彼が生まれた時、フロイトは19歳、ジャネは16歳、そしてアードラーは5…