成人期ADHDの症状と診断
成人期ADHDの診断
児童期から成人期まで症状が持続し、社会適応を妨げる要因となりうる疾患です。児童期から現在に至るまでの生育歴を詳細に聴取して、就学や就労を含めたライフステージに応じて発生した心理社会的問題を吟味して、ADHD症状の連続性や他疾患との鑑別や併存を注意深く検討していく必要があります。
成人期のADHDは、多動・衝動性よりも、不注意症状が中心となることが多く、記憶が中心の就学期に比べ、職場での事務処理能力が中心となる就労期では、業務に優先順位をつけて効率よく処理することができなくなり、そのことが受診につながる理由になることが少なくありません。
DSM-IV-TRからDSM-5の診断変更点
発症年齢が7歳から12歳に引き上げられました。また、17歳以上では満たさなければならない診断項目が減らされて、診断条件が緩和されました。さらに、自閉症スペクトラム症(ASD)との併存が認められるようになり、成人のADHDに対して診断がつきやすくなりました。
ASDとADHDは、両者とも男性に多く、感覚過敏や協調運動の拙劣さといった症状を共有している場合が多いわけですが、ASDの方は草食系で、ADHDの方は肉食系が多いとの指摘もあります。