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北総メンタルクリニック 院長の情報発信

障害者雇用の現状

障害者雇用の現状と最新動向(まとめ)

1. 障害者雇用の歴史と法定雇用率の推移(最新情報)

  • 歴史: 1976年に身体障害者を対象(1.5%)に義務化がスタートし、1997年に知的障害者、2018年に精神障害者へと対象が拡大されました。

  • 【最新動向】雇用水準の引き上げ: かつて2%台前半だった民間企業の法定雇用率は段階的に引き上げられており、2024年4月に2.5%へ、さらに2026年7月には「2.7%」への引き上げが決定しています。これに伴い、義務の対象となる企業規模も「従業員37.5人以上」へと拡大しており、より多くの中小企業が対応を迫られるフェーズに入っています。

2. 現行制度の仕組み(納付金と特例子会社)と課題

  • アメとムチの制度: 未達成企業(従業員100人超)からは不足1人につき月額5万円の「納付金」を徴収し、達成企業には超過分に応じて「調整金」などを支給する仕組みがとられています。

  • 特例子会社による大企業の対応: 2002年に設けられた特例子会社制度により、大企業は人事制度を変えずに単純作業(清掃や仕分け等)を子会社に集約し、グループ全体で雇用率を達成する手法が定着しました(未達成による企業名公表のリスク回避)。

  • 中小企業の壁: 一方で、数人の雇用確保のために子会社を作る資金や業務の余裕がない中小企業にとっては、この特例は非現実的であり、「無理に雇用するより納付金を払う」という選択に偏りがちなのが実態です。

3. 求められる「柔軟な雇用」と制度のアップデート

障害者の潜在能力を引き出し、一般社員とともに戦力化するには「柔軟性の高い雇用形態」が不可欠です。

  • 【最新動向】短時間労働の算入: これまでの一律な労働時間の枠組みが見直され、2024年4月からは「週10時間以上20時間未満」の特定短時間労働者(精神・重度身体・重度知的障害者)も『0.5人』として雇用率に算定できるようになりました。これにより、長時間働くことが難しい方への柔軟な働き方が、制度上でも後押しされています。

4. 「みなし雇用」の可能性と今後のあり方

単純な雇用率の引き上げだけでは根本的な解決にならないため、新たな制度設計が求められています。

  • みなし雇用のメリット: 企業が社会福祉法人(就労継続支援A型事業所など)に社内業務を発注した際、その業務量に応じて自社の雇用率にカウントできる制度です。フランス等で導入実績があり、障害者向けの仕事を自社で創出できない中小企業や、間接業務を外注したい大企業の双方にとって非常に合理的な仕組みです。

  • 【最新動向】日本の現在地: 日本における完全な「みなし雇用(法定雇用率への直接換算)」の法制化は未だ議論が続いている状況ですが、テレワークの普及や多様な働き方の推進により、直接雇用に縛られずに仕事を外注することで障害者の社会参加を支援する枠組みへの期待は日に日に高まっています。

結論

過去に発覚した中央省庁の雇用率水増し問題を単なる批判で終わらせてはいけません。数字合わせ(法定雇用率の達成)をゴールとするのではなく、特例子会社、短時間勤務、そして将来的には「みなし雇用」のような多様な選択肢を駆使し、企業にとっても障害者にとっても実益を伴う、有益で持続可能な制度設計の構築が急務となっています。