催眠の本質についての論争
- 状態論派-トランスとしての変性意識状態
- 非状態論派-通常の心理反応の一形態
↓ - 二者択一的な考えではなく、大脳生理に根拠をおく変性意識と、さまざまな心理・社会・対人要素の関わり、さらに暗示の役割がいかなる状況で、どのように被験者に影響を及ぼすのかの理解に努めることが重要
催眠の画像診断やその他の実証研究
- 催眠は大脳生理と関連した現象で、特に前部帯状回(ACC)と前頭前野の減結合にみられる大脳機能、脳梁のサイズといった大脳構造などが関与
- 前頭前野の減結合は、催眠の特徴とされる理性の低下や猜疑心の中断と符合し、被暗示性の亢進もこれに基づいた神経生理のトップダウン機制による
- こうした大脳生理の特徴は、催眠感受性の高い被験者に限られており、催眠感受性の低い被験者にはみられない
- 大脳生理が催眠に対して因果関係があるのか、単なる相関関係なのかは不明
- 被験者の心理状態や社会状況といった社会認知要因は、催眠反応と感受性に大きな影響を与える
- 社会認知要素が大脳生理と相乗関係を持つのか、無関係なのかは不明
- 催眠効果は暗示によって決定され、そのメカニズムは単なるリラクセーションや瞑想のそれとは異質である
(高石昇、大谷彰:現代催眠原論ー臨床・理論・検証ー.金剛出版,2015.参照)