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障害者雇用の現状

障害者雇用の現状

  • 複数の中央省庁で障害者雇用の水増し問題が発覚しました。日本の障害者雇用の義務化は、1976年に身体障害者を対象に始まりました。民間企業の法定雇用率は1.5%でした。1997年に知的障害者、2018年に精神障害者にと対象が広がり、現在の法定雇用率は2.2%です。
  • 法定雇用率を達成できない企業からは、未達成分1人につき月額5万円の納付金を徴収する一方、達成企業に対しては雇用率を超えた分同2万7千円の調整金を渡すというインセンティブを設けています。
  • 2002年からは民間企業に障害者を専門に雇用する子会社を設立した場合、そこでの障害者雇用を企業グループ全体の障害者雇用率にカウントできるという特例が設けられました。
  • これにより、障害者でも従事可能な単純作業(清掃、シュレッダー、制服のクリーニング、郵便物仕分けなど)を子会社に集約すれば親会社の人事制度などを変えることなく障害者を雇用できるようになりました。
  • また厚労省は、法定雇用率が未達成の場合には、達成するよう勧告を出し、それでも改善されない場合は企業名を公表することとしているため、それを避けたい大企業での障害者雇用は増加しました。
  • しかし、このような特例は中小企業には不向きであり、数名の障害者を雇用するために子会社を設立するのは非効率で、資金もないという企業が多く、数名の障害者雇用にコストをかけるくらいなら納付金を納めた方が良いというところも多いわけです。
  • 企業にとって望ましい障害者雇用は、障害者の潜在能力を見出して、適切な仕事に就いてもらって戦力化することが求められるわけですが、一般の社員と障害者がともに働くなかで、それを実現するためには、柔軟性の高い雇用形態が求められ簡単ではありません。
  • 日本の法定雇用率は、ドイツの5%、フランスの6%などに比べると低い水準で、厚労省は2020年には、2.3%までに引き上げる予定ですが、単純な雇用率引き上げだけでは、障害者雇用の促進には繋がらず、新たな制度設計が求められています。
  • 新たな制度設計のなかで有望なのが、「みなし雇用」制度で、企業が社内業務の一部を社会福祉法人の運営する障害者施設(就労継続支援A型事業所)に発注したとき、その業務量に応じて障害者雇用にカウントできるというもので、フランスではすでに実施されています。これは、企業内では間接業務に過ぎない仕事が施設にとっては本業になり、作業効率が高まり、より多くの注文を企業からとれるというメリットが生まれます。
  • とくに、障害者向けの仕事を生み出せない中小企業にとっては、きわめて利便性の高い形態になるわけです。大企業も間接業務については「みなし雇用」制度を活用し、本業においては障害者の戦力化を図れるというメリットがあるわけです。
  • 今回の中央省庁の不祥事を、ただ批判するだけでなく、今後の障害者雇用のあり方を改めて考え直し、企業にとっても障害者にとっても有益で実現可能な制度設計構築の機会にしなければなりません。

脳卒中後うつ病と社会的機能

脳卒中うつ病と社会的機能

  • 脳卒中のような急性の身体疾患においては、家族や友人を含めた周囲の人々からの社会的支援がない場合、支援がある場合に比べてうつ病の発症率は高くなる可能性があります。
  • Robinsonらは、社会的機能検査(social functioning examination: SFE)社会的結びつき調査票(social ties checklist: STC)という評価尺度(Robinson RG et al: Arch Phys Med Rehabil, 66, 1985)を用いて脳卒中うつ病と社会的機能についての関係を検討しています。
  • その結果、脳卒中後の患者の社会的支援とうつ病との関係は、相互作用があり時間とともに変化し、社会的支援の乏しい患者は、うつ病に発展する可能性が高いことが示唆されました。
  • 脳卒中うつ病患者は、非うつ病患者よりも社会的機能が障害されていること、脳卒中前の社会的機能の障害は、脳卒中の1~2年後のうつ病の存在や重症度と関係していることが見出されました。
  • 脳卒中急性期における患者の配偶者など親近者との関係や、脳卒中前の限定された社会的活動が、脳卒中の3~6カ月後のうつ病の発症と関係し、脳卒中うつ病経済的破綻への恐れと限定された社会的活動とも関連していました。
  • 脳卒中前にできていた仕事を失う恐れは、脳卒中の1~2年後のうつ病発症の予測因子になることも示されました。
  • 脳卒中前の社会的機能障害は、脳卒中の3~6カ月後における認知機能と日常生活動作(ADL)の回復に有意な遅延をもたらすことが示され、生活資金の保障、自宅と近所との適切な関係、親近者との関係の質および社会的活動の質のすべてが、脳卒中の1~2年後における身体機能や認知機能の回復と関係していることが示されました。
  • これら上記の所見は、他の研究者と同様の結果であり、脳卒中患者の社会的機能の重要性、とくに社会的介入の有用性を示すものであり、今後さらなる研究が必要な領域です。

脳卒中後うつ病と失語症

脳卒中うつ病失語症

  • 多くの研究者が脳卒中うつ病研究において、うつ状態の評価が困難との理由から失語症患者を除外して検討しているにもかかわらず、失語症脳卒中うつ病の原因だという仮説が議論されています。
  • Gainoiiは、生活環境のなかで、言語は最も重要な要素のひとつであるので、言語を失ったことによる抑うつや怒りの出現は、左半球障害と関連した了解可能な反応である抑うつ破局反応」にほかならないという仮説を主張しています(Gainotti G: Cortex, 8, 1972)。
  • Bensonも、抑うつは言語を失ったことによる二次的な心理的反応ではないかと述べています(Benson DF: Churchill Livingstone, New York, 1979)。
  • StarksteinとRobinsonは、失語の軽症型(名称失語、超皮質性失語)と重症型(ブローカ失語ウェルニッケ失語、全失語)で, うつ病の出現頻度に有意差はないこと、大脳基底核視床に病変を持つ患者は、失語症の有無にかかわらずうつ病の出現頻度に差はなく、大脳皮質の病変と同様に、失語症の有無よりも、病変部位がうつ病の頻度を決める重要な要素であることを示しました(Starkstein S.E and Robinson RG: Aphasiobgy, 1988)。
  • 一方、Damらは、失語症の重症度とうつ病の重症度は有意な相関はなかったとことを報告していますDam H et al: Acta Psychiatr Scand, 80, 1989)。
  • Herrmannらは、左大脳半球に単一病変をもつ失語症患者について検討して、急性期の脳卒中群のみ流暢性失語症ウェルニッケ失語症や名称失語症)に比べて非流暢性失語症ブローカ失語症や全失語症)が、うつ病の重症度が有意に高く、大うつ病の頻度も高かったことを報告しています。また彼らは、うつ病の重症度と大脳前頭極から病変までの近さが有意な正の相関があることを見出しました(Hermann M, et al: J Neurol Neurosurg Psychiatr, 56, 1993)。
  • Astromらは、失語症患者は非失語症患者に比べて入院時急性期と3カ月後で、うつ病の頻度が有意に高いが、1、2、3年後の評価ではうつ病の頻度に有意差はなかったと報告しています(Astrom M, et al: Stroke, 24, 1993)。
  • Kauhanenらは、失語症患者の70%が脳卒中後の3ヶ月でうつ病診断を満たし、12ヶ月後でも62%が満たしており、脳卒中後の3~12ヶ月におけるうつ病全体の有病率は減少したが、失語症が継続している患者では大うつ病が増加していることを示し、失語症脳卒中うつ病の有意なリスクファクターであると結論づけています。ただ、この研究評価の難しさは、うつ病診断が、評価の信頼性や妥当性が示されていない関係者や病院スタッフによる観察に基づいているということです(Kauhanen ML, et al: Arch Phys Med Rehabil, 81, 2000)。
  • SutcliffeとLincolnは、脳卒中失語抑うつ質問表(stroke aphasic depression questionnaire: SADQ)と呼ばれる抑うつ評価尺度、病院不安抑うつ尺度(hospital anxiety and depression scale: HADS)およびウエイクフィールド抑うつ尺度(Wakefield depression inventory)を用いて、脳卒中急性期後自宅に退院した患者において、10項目に短縮されたSADQ得点との相関は、HADSでは0.32、ウエイクフィールド抑うつ尺度では0.67であったと報告している(Sutcliffe LM and Lincoln NB: Clin Rehabil, l2(6), 1998)。
  • 失語症は、一般的には優位半球の病変によって出現します。現在までの研究成果では、非流暢性(ブローカ)失語症は、うつ病の高頻度と関連している可能性がありますが、失語症と理解力のない患者における実際のうつ病の有病率は明らかではありません。非流暢性(ブローカ)失語症うつ病との関連は、両者が左前頭葉病変によって引き起こされるということに基づいているのかもしれません。
  • 失語症が、うつ病を引き起こしているという主張はありますが、むしろ脳卒中うつ病失語症からの回復に大きな影響を与えているのではないかと考えられます。

脳卒中後うつ病と認知機能障害

脳卒中うつ病と認知機能障害の関連

~Robinsonグループの検討を中心に~

 

うつ病と認知機能障害(MMSE得点による)との関連

  • 脳卒中の急性期患者276例の検討で、大うつ病は小うつ病や非うつ病に比較して有意に認知機能が障害されていたと報告されています(Downhill & Robinson 1994)。

 

病変部位との関連

  • 脳卒中後の大うつ病においては、右半球病変に比較して左半球病変で有意に認知機能が障害されていることが示されています(Downhill & Robinson 1994) 。
  • 上記の結果については、MMSEが優位半球(通常左半球)によって処理されることの多い言語的機能に強く影響されるためではないかという見解も示されました。
  • Bolla-WilsonらによるMMSE以外の詳細な神経心理学的検討f:id:therapilasis:20181005200802p:plain
    • 右半球によって通常処理される認知機能を含めて、左半球病変の大うつ病患者と関連のあることを明らかにしています。

  • Starksteinらによる病変部位を一致させた認知機能の検討

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    • 認知障害脳卒中後の病変部位に関連しているのか、うつ病に関連しているのかを検討するために、左半球病変を持つうつ病患者と非うつ病患者で病変部位を一致させた13ペアでMMSEを用いて認知機能を比較しました。その結果、うつ病患者が非うつ病患者に比べて有意に認知機能が障害されていることが示され、脳卒中後の認知障害は、病変部位だけではなく,左半球病変による大うつ病に関連した生理学的状態が原因になっていることが示唆されました。

 

  • 病変部位の大きさと認知機能障害との関連

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    • 左半球病変の大きさとうつ病が、どの程度認知機能障害に影響しているかを検討したところ、全脳に対する病変の大きさが10%以下では大うつ病が非うつ病者に比較して認知機能がより障害されていますが、10%を超えると病変の大きさがうつ病の影響を圧倒してしまうことが示されています。つまり、左半球病変による大うつ病は、認知機能障害を引き起こしますが、病変部位の大きさが全脳の10%を超えると、うつ病の有無とは無関係に認知機能が障害されることを示しています。

その他の報告

  • Houseらの報告(1990)
    • 脳卒中後1ヶ月の大うつ病患者は、非うつ病患者よりMMSEが有意に低得点になっていることを示しました。
    • 左半球病変患者では、MMSE得点とうつ病の重症度との間に相関があったが、脳卒中の1年後では相関は認められなくなったと報告しています。
  • Morrisらの報告(1990)
    • 左半球病変患者では、大うつ病患者は非うつ病患者に比較して有意に認知機能が障害されていたが、右半球病変患者では大うつ病患者と非うつ病患者の間で認知機能の有意差は認められなかったことが示されています。
    • 左半球病変患者では、脳卒中の2~3ヶ月後の大うつ病の重症度とMMSE得点に有意な相関があったと報告しています。
  • うつ病認知障害の縦断的関係
    • うつ病と認知機能障害の相関は脳卒中後からの時間経過によって減少することが示されています(Downhill & Robinson 1994) 。
    • 左半球病変による大うつ病患者は、右半球病変の大うつ病患者や非うつ病患者に比較して、入院時、3ヶ月、6ヶ月の時点では有意に認知機能が障害されていましたが、1年後以降には有意な相関は消失するとの報告があります。(House et al.1990、 Downhill & Robinson 1994) 。

 

脳卒中後の認知障害のメカニズム

  1. 病変部位を一致させた患者群で、大うつ病患者が有意に大きな認知障害を示していることから、認知障害うつ病を引き起こすものではない。
  2. 脳卒中後の1年以内では、大うつ病患者は非うつ病患者に比較してMMSEが有意に低値であり、左半球病変の大うつ病患者のみに認知機能障害と関連があるということは、単にうつ病の存在が認知機能障害を引き起こしているのではないということを示しています。
  3. つまり、うつ病の存在が、認知機能障害を引き起こすのであれば、時間経過とは関係ないであろうし、右半球病変によるうつ病でも認知機能障害が出現するはずです。
  4. これらのことから、左半球病変の脳卒中と関連したある特殊な生理学的状態が認知障害うつ病の両者を引き起こしている可能性が示唆されます。

 

前頭葉5-HT2受容体結合能とMMSE得点

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  • PETによる左前頭葉のN-メチルスピロン(NMSP)結合率とMMSE得点の関係。5HT2受容体結合能の増加によって認知機能が改善することが示されています。
  • Robinsonらは、認知機能障害は前頭葉セロトニン作用が一部介在し、脳卒中うつ病は側頭葉のセロトニン作用が一部介在しているという仮説を立てています。
  • 5-HT2受容体結合能における前頭葉と側頭葉の機能障害は、脳卒中後の大うつ病と認知機能障害の両者を引き起こし、両者が存在する場合には、前頭葉の機能障害が側頭葉機能にも影響を及ぼすためうつ病はより長期化するのではないか?
  • またこの場合の治療としては、前頭葉ドパミン活性を賦活する薬剤(例えばリタリンなど)が有効かもしれません。
  • 一方、側頭葉の機能障害のみでは、認知機能障害を伴わないうつ病を引き起こし、この場合は側頭葉の活性を賦活するSSRIで良好な反応が得られるかもしれません。
  • 以上から、脳卒中うつ病の治療は認知機能障害と気分障害の両者を改善させる可能性があるものの、うつ病が認知機能障害と伴って出現するか否かによって治療効果は異なるかもしれません。Robinsonらのこれらの仮説についてはさらなる検証が必要です。

 

脳卒中うつ病の治療による認知機能の改善

  • うつ病の治療によって、認知機能障害が改善された場合、その認知機能障害は、仮性認知症と呼ばれます。
  • Robinsonらは、左前頭葉病変の脳卒中後の大うつ病で、仮性認知症と同様な病態が起こることを報告しました(Robinson RG, et al: Br J Psychiatry, 1986)。
  • しかし、多くの脳卒中うつ病の治療試験において、認知機能の改善は認められず、Andersen Gらは、脳卒中後のうつ病と認知機能障害の関係は、仮性認知症ではなく仮性うつ病と考えるべきだという主張をしました。
  • そこで、筆者らは、Robinsonらの行った脳卒中うつ病の治療試験を再度検討し直して、抗うつ薬プラセボによる比較ではなく、ハミルトンうつ病評価尺度(HAMD)の得点が、50%以上改善した群(治療反応群)と改善しなかった群(治療非反応群)で改めて比較検討しました。

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  • その結果、治療反応群は、治療非反応群に比較して明らかに認知機能が改善することを示し、脳卒中うつ病では仮性認知症と同様な病態が引き起こされることを報告しました。
  • また、MMSEの各項目の変化値の比較したところ、注意計算力と再生力の2項目で、治療反応群が治療非反応群に対して有意に改善していて、これは仮性認知症の特徴と一致していることを明らかにしました。

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脳卒中後うつ病と身体機能障害

脳卒中うつ病と身体機能障害

 

  • 脳卒中うつ病と身体機能障害との関連について、うつ病の重症度はADL(日常生活動作)の障害と有意な相関があることが一貫して示されています。
  • 脳卒中うつ病とADLの回復の関係については、一致した見解は示されていませんが、大多数の研究報告で、脳卒中後のはじめの数ヶ月のうつ病の存在が、1~2年後のADLの回復を障害するという結論は支持されています。
  • 抗うつ薬による脳卒中うつ病の治療とADLの回復について、抗うつ薬プラセボによる二重盲検試験では、抗うつ薬治療を受けた患者のADLの回復が、プラセボを服用した患者よりも有意に改善したという結果は、大半の研究で示されていません。
  • しかし、実薬とプラセボの比較ではなく、うつ病が改善した患者と改善しなかった患者との比較では、うつ病が改善した患者で有意なADLの改善が示されています

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    (Chemerinski E, Robinson RG, Kosier JT: Improved recovery in activities of daily living associated with remission of poststroke depression. Stroke. 2001; 32(1): 113-7.)

  • また、脳卒中後1ヶ月以内に抗うつ薬治療(ノルトリプチリンとフルオキセチン)を受けた脳卒中後のうつ病と非うつ病の患者が、脳卒中後1ヶ月以降に抗うつ薬治療を受けた患者よりも2年間にわたってADLが有意に改善していることが示されています。
    (Narushima K, Chan KL, Kosier JT, et al: Does cognitive recovery after treatment of poststroke depression last? A 2-year follow-up of cognitive function associated with poststroke depression. Am J Psychiatry. 2003; 160(6): 1157-62.)
  • これらの知見は、脳卒中後の患者の回復が抗うつ薬治療によって有益であり最適な治療効果を得るためには脳卒中後1ヶ月以内に治療を受けるべきであることを示唆していますが、追試が必要です。

脳卒中後うつ病と優位半球との関連

脳卒中うつ病と優位半球との関連

 

  • 左側に運動優位性を持つ患者(左利きで、ものを見るときに左眼を使い、書くときや食べるときは左手、蹴るときは左足)では、右半球病変よりも左半球病変で、うつ病の頻度が有意に高いことが示されています。また、左半球前部に病変がある場合は、左半球後部や右半球に病変がある場合よりも、うつ病の頻度が高くなることが示されています。
  • これらの左利き患者で、言語性優位半球が右半球である患者がどの程度存在するかについての検討はなされていない。一般的に、左利きの人(運動性優位半球は右半球)のうちの約60~70%は、右利きの人と同様に言語性優位半球は左半球にあります。
  • しかし、病変のある半球側とうつ病の出現比率は、言語性優位半球の予想分布に基づくうつ病の比率とは著しく異なり、左利き患者における左前部病変とうつ病の関連は、右利き患者とうつ病の関連と同様であることが示されています。
  • したがって、左前頭病変と大うつ病との関連性は利き手などによる運動優位半球だけではく、言語優位性にも影響されない可能性が示唆されています。ただし、言語優位性を正しく判定した上での十分な検証が必要です。

脳卒中後うつ病の病変部位

脳卒中うつ病の病変部位

 

  • 脳卒中後の2カ月の期間におけるメタ解析によるうつ病の発現頻度は、前頭葉病変あるいは左基底核病変におけるうつ病の頻度は、右前頭葉病変あるいは左側頭-後頭病変よりも2倍以上多いという結果が示されています。同様に、脳卒中後最初の6カ月では、抑うつ症状の重症度と左前頭極から病変までの距離と有意な相関があることが示されています。Vatajaらの大規模研究を含む多くの研究から、前頭―基底核視床回路脳卒中うつ病の発現に関与していることを示しています。
  • 特定の領域の脳病変の研究では、うつ病視床よりも基底核の脳病変で、またPC領域(脳底動脈支配領域である脳幹、小脳、視床、半球後部)よりもMCA領域(中大脳動脈領域の前頭葉・側頭葉・頭頂葉皮質の広範な部分と基底核を含む皮質下)脳卒中でより頻度が高いことが示されています。
  • 右半球病変の患者では、うつ病は前部および後部病変とともに精神疾患の家族歴との関連が示されています。島皮質の病変は、うつ病とは関連がみられませんでしたが、疲労感や無気力状態との関連が示されています。外側前頭前野病変は内側前頭前野病変と比較してうつ病や不安障害の頻度が高いことが示されています。

 

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