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フロイトと内因性精神病

フロイトと内因性精神病

フロイトは、精神医学の中心課題でありながら、今なお本態不明のままである内因性精神病の症状にまで、そのリビドー学説による解明を試みた。

彼は、メランコリー患者の苦悩または自殺念慮とは、失われた、または背かれた性対象に対する無慈悲な仕打ちの観念を、自分自身に投影したものだと説明したのである。もし彼のこの試みが、純粋の症状解析を目的として行なわれた研究であるならば、精神病理学的の示唆を与えるものとして価値がある。しかし、もし彼がこの病的状態の本態を分析理論によって明らかにしようとしたのであるならば、これを体質に根差した病的過程による症状とする多くの精神医学者の反対を招くであろう。ただ、ここで、はなはだ重要な点として指摘したいことは、それまでは精神医学プロパーの研究対象とされていた内因性精神病が、フロイトによって初めて、その研究方法の上から神経症学と共通の接触点を持ったということである。    

これは精神分裂病についても言えることで、精神分裂病という心理学的名称を提唱したオイゲン・プロイラー自身、フロイトに関心を持ち、最初の間は生物学的よりもむしろ心理学的立場に重点を置いていた。これによって、精神医学と神経症学との関連の重要性を示す機運はますます高まったのである。

但しブロイラーは時が経つと共にこの考えから離れて、むしろ身体的原因論に傾くようになった。そしてフロイト流の症状解釈も、ブロイラーの言う副症状または二次症状には当てはまるが、分裂病の基礎症状には妥当しないことを主張するようになった。

フロイトの研究は、ヒステリーまたは神経症から進んで、深層心理学のすべての領域に及び、発達心理学社会心理学、さらに世界観までを包含する厖大な体系が打ち立てられた。あらゆる理論が上述の原理から出発していることを、フロイト自身の言葉をもって確かめることとしよう。「抵抗、そして無意識への抑圧、性生活の原因的意義、小児期体験の重要性、この4つの理論が精神分析体験の主要部分である」

内村祐之:精神医学の基本問題1972参照)