せん妄
一般的には身体疾患を背景とした急性で可逆的な、意識水準が変化した状態です。脳血管障害や認知症、あるいは高齢者などでは、脳の脆弱性がありますので、身体的・環境的な負荷が加わると出現しやすくなります。
せん妄の症状
- 昼夜逆転傾向
- 日時・場所などの見当識が障害されます。
- 人の区別がつかない、ないものが見えたり(幻視)、ない音や声が聞こえたり(幻聴)します。
- 感情が突然変化したり、感情の起伏がなくなります。
- 話しが通じなくなったり、一方的、断片的になったりします。
- 勝手に歩き回ったり、転んでしまうようなことが起こります。
- 夜間せん妄という言葉があるように、夕方〜夜間に出現しやすい。
せん妄の診断基準(DSM-5)
- 注意の障害(すなわち注意の方向付け、集中、維持、転換する能力の低下)、および意識の障害(環境に対する見当識の低下)
- その障害は短時間のうちに出現し(通常数時間~数日)、もととなる注意及び意識水準からの変化を示し、更に1日の経過中で重症度が変動する傾向がある。
- さらに認知の障害を伴う(例:記憶欠損、失見当識、言語・視空間認知・知覚)。
- 基準AおよびCに示す障害は、他の既存の確定した、または進行中の神経認知障害ではうまく説明されないし、昏睡のような覚醒水準の著しい低下という状況下で起こるものではない
- 病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が他の医学的疾患、物質中毒または離脱(すなわち、乱用薬物や医薬品によるもの)、または毒物への曝露または複数の病因による直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある。
せん妄の発症因子
- 直接因子
- 誘発因子
- 入院などの環境の変化
- 感覚遮断(視覚、聴覚)
- 睡眠妨害要因(騒音、不適切な照明、過剰刺激)
- 治療上の身体拘束、強制臥床 ➡ 強力な促進因子
- 不快な身体症状(疼痛、呼吸困難、便秘・排尿障害、痒み)
- 周囲の望ましくない対応や言動
せん妄のスクリーニングツール
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DST(Delirium Screening Tool)