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北総メンタルクリニック 院長の情報発信

抗精神病薬による遅発性ジスキネジア

遅発性ジスキネジア

 

抗精神病薬の服用をはじめて3か月以上経過(多くは6ヶ月以上)してから出現する遅発性の副作用です。口周囲の運動異常の頻度が高く、口をもぐもぐさせたり、よじったり、舌を突き出したりするような不随意で不規則な運動が出現します。顔を歪めたり、指先を動かしたり、手を握り込むような運動、あるいは斜頚や首の後屈、体を捻転させるような運動も出現することがあります。原因としては、抗精神病薬の長期投与による後シナプスの感受性亢進によるものと考えられています。

抗精神病薬を1年間以上継続して服用している方の10~20%で、遅発性ジスキネジアが出現するとの報告もあります。男性よりも女性の方が出現しやすく、小児や高齢者、脳の器質的異常がある場合には出現するリスクが高くなります。

予防は、必要最小限の抗精神病薬の使用に留めることが必要になります。従来の定型抗精神病薬(第一世代)よりも非定型抗精神病薬(第二世代)の方が、出現頻度は少なくい。

対策としてはとしては抗精神病薬の減量や、変更を考慮しなければなりません。また、急性アカシジアなどに有効な中枢性抗コリン薬は無効です。むしろ、抗精神病薬に中枢性抗コリン薬が併用されている場合には、中枢性抗コリン薬を中止することで、遅発性ジスキネジアが改善することもあります。

クロニジン(カタプレス)、プロプラノロール(インデラルなどのアドレナリン系を抑制する薬剤や、クロナゼパム(リボトリールランドセン)、ロラゼパムワイパックスのようなベンゾジアゼピン系薬剤、または、リチウム(リーマス)やカルバマゼピンテグレトールが、運動異常と精神病症状の両方を軽減するのに有効な場合があります。