therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

非定型うつ病の増加

非定型うつ病の再認識 1959年West とDallyが、ECT(電気けいれん療法)とイミプラミン(三環系抗うつ薬)が無効で、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)であるipronoazidが著効を示し、不安恐怖症状とヒステリー性の特徴をもつ「非定型うつ病」を提唱しました…

治療抵抗性うつ病の治療ガイドライン

APA(アメリカ精神医学会)(2010) 抗うつ薬で反応がなかった場合 (*本邦適応外) Level Ⅰ・心理療法の追加・異なる作用機序の抗うつ薬への切替 Level Ⅱ・リチウムの追加*・甲状腺ホルモンの追加*・非定型抗精神病薬の追加* Level Ⅲ・抗けいれん薬の追加*…

うつ病の治療アルゴリズム

TMAP(Texas Medication Algorithm Project)(2008) エビデンスに基づいた治療アルゴリズムを最初に作成したTMAPの2008年版 *は本邦未承認で英字記載 Stage0 全てのstageにおいて エビデンスに基づいた精神療法が単独あるいは薬物療法と併用で考慮 毎日の…

双極性障害の過少診断と過剰診断

双極性障害の過少診断 双極性障害の37%は、単極性うつ病と誤診されている(Ghaemi,2000)双極Ⅱ型障害の正確な診断率は9%に過ぎない(Vieta E et al, 2000)うつ病外来受診者の60%が、実は双極Ⅱ型障害(Benazzi,2004) なぜ、過少診断が起こるのでしょう…

躁病・軽躁病エピソード・混合状態の診断基準

躁病・軽躁病エピソードの診断基準(DSM5) 必須項目 気分高揚、開放的、易怒的、異常で持続的な活動亢進 (ほぼ毎日、一日の大半において出現する) 自尊心の肥大,誇大 睡眠欲求の減少 多弁 観念奔逸(考えが次々と飛ぶ) 注意散漫・易刺激性 目標志向性の…

躁状態の症状

躁状態のときの症状 感情の障害自我感情が亢進して、自信に満ちて、気分は爽快で、意気揚々とします。好き嫌いの感情を露骨に現したり、意に沿わないと急にイライラして不機嫌になったり(易刺激性)、怒り出したり(易怒性)します。感情状態が抑制されず、…

双極性障害(躁うつ病)の概念

双極性障害(躁うつ病)概念の変遷 クレペリンの躁うつ病一元論 エミール・クレペリン(1899教科書第6版)は、躁状態とうつ状態が交互に出現する病型のみならず、うつ状態や躁状態のみの単一型も含めて躁うつ病(Manisch-depressives Irresein)という疾病概…