therapilasisのブログ

北総メンタルクリニック 院長の情報発信

死別反応とうつ病

DSM-ⅣからDSM5になっての変更点 DSM-IV 死別反応を超えるものを、2ヶ月以上続くもの、または重度の特徴を持つものと定義。 DSM-5 2ヶ月や症状などの人為的な線を引かず、死別反応の範囲か否かは、臨床的な判断にゆだねられました。 この変更に当たっては、…

高齢者うつ病の多要因性と適切な治療の必要性

高齢者ではいろいろなことが要因になってうつ病になります。 うつ病の発症要因としては、遺伝・生育的な要因があります。性格、思考・行動パターン、ストレス脆弱性などが背景にあり、そこに心理社会的要因や身体的要因が絡まってうつ病を発症します。 高齢…

自傷行為とその裏側

リストカットなどの自傷行為は、「こころの痛み」を和らげるための行為と言われます。ですので、自傷行為を繰り返す人はこころの痛みが深いのです。 つらさから逃れて生きるための行為でもあるのですが、繰り返すなかで自殺企図につながることもあるので、注…

わが国の自殺者の推移とその背景

日本の自殺死亡者数の推移 わが国における自殺者数は2万人台であったものが、1998(H10)年に1万人程度増加して3万人を超え14年間連続して3万人を超え続け、その後減少に転じています(図)。 1990年代以降の社会変動 バブル景気に狂乱した拝金主義と利己主…

双極うつ病の治療ガイドライン

BAP(英国精神薬理学会)(2009) 軽症 クエチアピン ラモトリギン 中等症 クエチアピン ラモトリギン SSRI TCA(三環系抗うつ薬)以外の抗うつ薬 重症 ECT(電気けいれん療法) WFSBP(生物学的精神医学世界連合)(2010) 第1選択 クエチアピン 第2選択 単…

双極うつ病の治療

双極性障害のうつ病相に対する抗うつ薬の使用 STEP-BD (Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder) 米国で実施された双極性障害患者の治療効果、経過、転帰についての大規模多施設臨床試験(Sachs GS, et al. N Engl J Med 356, 200…

非定型うつ病の増加

非定型うつ病の再認識 1959年West とDallyが、ECT(電気けいれん療法)とイミプラミン(三環系抗うつ薬)が無効で、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)であるipronoazidが著効を示し、不安恐怖症状とヒステリー性の特徴をもつ「非定型うつ病」を提唱しました…