レビー小体型認知症(Dementia with Lewy Bodies: DLB)
コマーシャルでも有名な小阪健司先生(現横浜市立大学名誉教授)が発見。小坂先生は認知症の20%がDLBだと主張しており、ADに次いで多い認知症です。小坂先生はとっても気さくな先生で、私の恩師の故遠藤俊吉先生とも、とっても親しかった先生で何度もお会いしてますが、ほんとに世界的に著名な先生です。
- 認知機能の変動
- 良いときと悪いときの差が目立つ
- 鮮明で具体的な幻視
- 人や子供が実際には存在しないのに見えるという訴え
- パーキンソン症状
- 動作緩慢、手指振戦、前傾姿勢、小股歩行など
- レム睡眠行動障害
- レム睡眠のときは通常筋が弛緩して動けないが、筋が弛緩せず、夢の内容に反応して体を動かし、大声を出したり、配偶者を殴ってしまうようなことが現れる。
- 立ちくらみや失神といった自律神経症状
- 薬剤過敏性があり、副作用が出やすい
- 初期にうつ症状などで受診することがある
先日の70代の女性患者さんは、見当識もしっかりしているのに、「部屋のなかに子供達がいて、お菓子とかあげたのに、誰も食べずにいなくなっちゃいました。」とありありとした幻視を訴えていました!徐々に前かがみになってパーキンソニズムも出現してきて、抗パーキンソン剤を入れたら前かがみの姿勢は改善したのに、幻視は治らないので、抗精神病薬を処方したのですが、そうするとパーキンソニズムが悪化するので、処方のバランスがとっても難しいのがDLBです。
2017年改訂DLB診断基準(Neurology 89, 2017)
- 中心的特徴(必須)
- 進行性認知障害
- 中核的特徴
- 認知・意識レベルの動揺性
- 繰り返す具体的幻視
- REM睡眠行動障害:認知機能低下の前に認められる
- パーキンソン症状:寡動、安静時振戦、固縮
- 指標的バイオマーカー
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中核的特徴2項目or中核的特徴1項目+指標的バイオマーカー1項目以上⇒Probable DLB(ほぼ確実)
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中核的特徴1項目or指標的バイオマーカー1項目以上⇒Possible DLB(疑い)
- 支持的特徴
- 支持的バイオマーカー
DLBとPDD
- 認知症がパーキンソン症状の出現前、あるいはパーキンソン症状出現後の1年以内に発症した場合をDLB、1年以上たってから発症した場合は、認知症を伴うパーキンソン病(Parkinson's disease with dementia: PDD)とする「1年ルール」がありますが、病理学的に両者に質的相違がないことから、DLBとPDDは、臨床病理学的に連続性をもった疾患と考えられています。
シヌクレイノパチー
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レビー小体の主たる構成成分としてα-シヌクレイン蛋白が同定され、レビー小体の出現を病理学的特徴とするDLBとパーキンソン病を併せてレビー小体病(Lewy body disease)と呼び、また、α-シヌクレインの蓄積を主たる病態機序とする疾患として、レビー小体病と多系統萎縮症を併せてシヌクレイノパチーと呼ぶことがあります。
(参考)