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ADHDの鑑別診断

ADHDの主症状である不注意、多動性、衝動性はいずれもADHD固有の症状とは言えません。多くの精神疾患で同様な症状が出現します。一方で、さまざまな精神疾患の背景障害として、あるいは全く独立して併存しているADHDを見逃さないようにすることが必要です。とくに、成人の場合には、小児期より症状が持続し慢性であることを念頭に置いた鑑別が重要です。

 

  1. 虐待とネグレクト
    • 虐待やネグレクトを受けた子供は、少しの刺激にも注意を払っているため注意転動が強くなり、常に警戒状態で刺激への反応が過剰になるため多動や衝動性が出現するためADHDとよく似た症状を示すことがあります。一方、ADHDは育てにくい子として親のストレスになり、虐待やネグレクトに起因する障害が発生することもあります。

 

  1. 不安症群/不安障害群
    • 分離不安症は、愛着を持っている人との分離や分離を想像することで、強い不安が起こり、注意の集中の持続が困難になったり、落ち着きなく身体を動かして多動に見えることもあります、分離不安では分離不安要因が存在しなければ症状が軽減しますので鑑別点になりますが、ADHDが併存することもあります。

  2. 解離症群/解離性障害
    • 前思春期頃から心因によって意識障害が引き起こされます。虐待を受けた子供は、自分を守るために解離症状を呈することがあります。解離症状を呈していないときには、いらいらして落ち着かず、ボーとして注意力がないこと、さらには些細なことでかっとなり衝動性が強くなって、ADHDと混同される場合があります。

  3. PTSD
    • 回避、情動麻痺、過覚醒などとともに不安や抑うつが目立ち、衝動性、集中困難、意欲の低下がみられADHDと類似の症状を呈します。また、児童虐待によるトラウマは愛着の問題と併存することが多く、より重篤PTSD症状を呈し、攻撃性、反社会的行動や解離を伴うこともあります。鑑別は外傷的出来事の有無ですが、気付かないこともあります。

  4. 双極性障害
    • 多弁多動で注意散漫になること、また不機嫌、激越、爆発性の怒りを伴う場合もあり、ADHDの症状との類似性が高く鑑別が難しい疾患です。発症年齢がやや高いことや、周期的な躁とうつの繰り返しが鑑別点としてあげられますが、併存することもあり、鑑別は慎重に行う必要があります。

  5. 抑うつ症候群
    • ADHDでも気分の易変性や抑うつ状態が認められます。鑑別は、二次的に生じるうつ症状なのか、うつ病自体の症状なのかを区別することが必要ですが、実際には鑑別が難しい場合も少なくありません。

  6. 境界性パーソナリティ障害(BPD)
    • ADHDとBPDに共通する症状は不注意、不安定な感情、衝動コントロールの障害、低い自尊心や自己嫌悪によるストレスが、慢性的に広汎な状況で認められることです。しかし、BPDにおいて特徴的な見捨てられ不安やそれに伴うなりふりかまわない努力や情緒危機、慢性的な自殺関連行動、著しく不安定で激しい人間関係はADHDでは基本的には認められません。