理想の睡眠薬
数多くの睡眠薬がありますが、不眠症患者さんのニーズは十分に満たされていません。
不眠症治療の歴史
ベンゾジアゼピン薬剤の服用量(国連レポート)
日本は欧米と比べてベンゾジアゼピンの処方量が多く、患者さんの服用量が多いことが示されています。
ベンゾジアゼピンの問題点
- なかなかやめられなくなるといった依存の形成→長期連用
- 認知機能の低下やせん妄の出現、とくに高齢者や脳器質疾患・身体疾患を合併されている方ではその傾向が強くなります。
- 筋弛緩作用による転倒、骨折リスクの増加
- 多めに飲んでしまう乱用や過量服用→呼吸抑制作用がありますので、過量服用は死のリスクもあります。
現在の主要な睡眠治療薬
- これまで最も多く使用されているGABA受容体作動薬は血中濃度半減期の長さで分類・使い分けがなされてきました。ベンゾジアゼピン受容体はω1受容体(睡眠作用に関与)とω2受容体(抗不安作用や筋弛緩作用)に関与していますが、非ベンゾジアゼピン系はω1受容体に選択的に作用する薬剤です。
- 高齢者や入眠困難が中心の方は、半減期の短い薬剤から投与しますが、うつ病などで中途覚醒や早朝覚醒などがある場合には、半減期の長い薬剤を早期から処方することもあります。ただ、うつ病の場合には、依存性のあるベンゾジアゼピンよりも、睡眠作用のある抗うつ薬を使う場合が多いと思います。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の止め方
- 短時間作用型:1-2週間おきに1/4ずつ減量(漸減法)
- 漸減当初は不眠を強く自覚するが、不眠が治っていれば徐々に改善
- 眠れない状態(反跳性不眠)が出たら1段階戻る
- 長時間作用型:一定量減量後隔日にしてから中止(隔日法)
- 漸減法と隔日法を組み合わせる
- 短時間作用型は止めにくいので、長時間作用型に置き換えてから減量中止
- ラメルテオンやズボレキサントに置き換えてから中止→眠れないときのみ全薬を頓用使用
次回、新しいクラスの睡眠薬の詳細をご説明します。