がんとうつ病
がんの告知や再発、病状進行などのストレスからうつ病や適応障害が起こります。
- 「がん=死」を意識しますので、キューブラ・ロスの「死の受容プロセス」のように、がんの告知によって、「否認・孤立→怒り→取引→抑うつ→受容」というようなこころの動きが起こるかもしれません。もちろん全ての人が同じプロセスを経るわけではありませんが、突然、がんという病魔に襲われるわけですから、衝撃(ショック)を受けて、不安や混乱、抑うつが出現するのは当然です。その中で、不安や抑うつが長引いて、適応障害やうつ病に移行することも少なくありません。
- 治療が終了した後も、再発や病状進行への不安が常にありますし、仕事のこと、家族や愛する人のこと、自分がいなくなった後のことなど、とりとめなく思い悩みます。
- その中で、自分らしく生きるためにどうしたらいいか、考えるようになるわけですが、告知の段階からの支援体制が緩和ケアです
がん患者さんによるうつ病診断
- うつ病の診断基準は上記の9項目中5項目以上が、2週間持続することが必要です。一部の症状は、がんやがん治療による症状と区別が難しいわけですが、がんによって生じる症状も含めて広く診断することが推奨されています。
がん患者の望ましい死のあり方
(Miyashita M:Japanese Society for Palliative MedicineNews Letter No.36)
- 日本人における望ましい死
- 身体的・心理的なつらさが和らげられている
- 望んだ場所で過ごす
- 希望や楽しみがある
- 医師や看護師を信頼できる
- 家族や他人の負担にならない
- 家族や友人とよい関係でいる
- 自立している
- 落ち着いた環境で過ごす
- 人として大切にされる
- 人生を全うしたと感じる
- 人によって重要さは異なるが大切なこと
- 出来るだけの治療を受ける
- 自然なかたちで過ごす
- 伝えたいことを伝えておける
- 先々のことを自分で決められる
- 病気や死を意識しないで過ごす
- 他人に弱った姿をみせない
- 生きていることに価値を感じられる
- 信仰に支えられている
緩和ケアの実際
- 3人に1人が、がんで亡くなる時代
- がんと診断されたときから行う身体的・精神的な苦痛を和らげるケア
薬物療法
心理社会的支援
- 支持的精神療法
- 病気の受容や死の受容を目指すのではなく、がんによって生じた役割変化、喪失感、抑うつなどを軽減することが目標。
- 個々の患者における病気の与える意味を探り、理解し、これまで過去に行ってきたその人なりの病気との取り組み方で、困難を乗り越えていけるよう支えていく。
- 治療者はまず、患者が今まさにここで感じている気持ち(now and here)、特に恐れ・不安の表出を促し、それらを支持・共感し、非現実的な情報を与えるのではなく、現実的な範囲で保証を与えていく。患者の苦しみが今まさに理解されつつあると伝えることが出来たとき治療的となる。
- 認知行動療法
- ストレスコーピング
- スピリチュアルケア
- 家族や遺族のサポート・ケア